アヤックス(オランダ)がアウェーでユベントス(イタリア)に2-1で勝ち、2試合合計3-2で22季ぶりの準決勝進出を果たした。

19歳で主将を務めるオランダ代表DFマタイス・デリフトが決勝点。予備予選2回戦からの準決勝進出は史上初の快挙となった。

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オランダの名門アヤックスが、16年に68歳で他界したOBのヨハン・クライフ氏の教示に従い、22季ぶりに準決勝進出を果たした。

「3点取られても、4、5点を奪え」

攻撃こそ美学と謳ったクライフ氏の哲学で強豪ユベントスまで飲み込んだ。1-1で引き分けた第1戦同様、敵地でも相手のシュート数11本を上回る13本を放ち、後半に至っては10本と攻め続け、MFファンデベークとデリフトの得点で逆転。テンハグ監督も「自分たちのサッカー哲学を貫いて、また限界を上回ることが出来た」と喜んだ。

契約満了の選手が移籍金なしで他国リーグへ移籍できる「ボスマン・ルール」が1996年から適用されたことで、長年、大舞台から遠のいた。23季前の95-96年シーズンは2季連続の決勝進出。この日対戦したユベントスにPK戦で敗れて準優勝に終わったが、GKファンデルサルやMFダビッツ、デブール兄弟らが欧州の舞台で躍動していた。

ボスマン・ルールが採用された翌シーズンは、世界最高峰のボランチと評されたダビッツの穴を埋められず、準決勝で敗退した。その後はイブラヒモビッチ(現LAギャラクシー)やスアレス(現バルセロナ)ら、スーパースターを輩出するも、若手の有望株がビッグクラブへ移籍する流れを止められず。アヤックスだけでなくオランダのクラブ全体が草刈り場となっている。

今夏も21歳MFデヨングのバルセロナへの移籍が決定し、主将のデリフトも「残留は0%」と指揮官が話しており、攻守の柱であるオランダ代表コンビの放出が既定路線。依然、リーグの立ち位置は変わっていない。

それでもRマドリードに続くビッグクラブ撃破に、テンハグ監督は「優勝候補を立て続けに破るとはね。オランダのサッカー界にとっても特別な夜になった」。

有望な選手を引き抜かれようが、また新たな選手を発掘してつくり上げる「育成力」がある。今大会の台風の目となるチームは一戦ごとに成長している。