セリエAのボローニャへ完全移籍した日本代表MF冨安健洋(20)が15日、イタリアへ向かうため千葉・成田空港に姿を見せた。先月の南米選手権(コパ・アメリカ)ブラジル大会を終えた後、現地で交渉や施設見学を行い、帰国後に正式契約。2週間のオフをへて新天地へ飛び立つ。

搭乗エリアへ進む前に取材に応じ「ステップアップできるならしたいと思っていたので、実現してうれしく思います」。決め手となった理由には「攻撃の良いところ、守備の良いところをそれぞれ伝えてくれて、よく見てくれているなと思った。熱意…熱意です」と説明し、笑顔を見せた。

カテナチオの国に、日本人センターバックでは初めて挑戦する。昨季はベルギー1部シントトロイデンでフル回転し、日本代表にも定着。さらなる成長のため「もっと守備を学びたい気持ちがあったのでイタリアを選びました。たくさんのことを吸収したい。そのためには、まず試合に出ないと意味がない」と決意の移籍だった。

セリエAには絶対王者ユベントスのクリスティアーノ・ロナルドやインテルミラノのイカルディだけでなく、昨季の得点ランキングで彼らを上回ったクアリャレッラ(サンプドリア)ゼバタ(アタランタ)ピアテク(ACミラン)といった点取り屋がひしめく。「守備の国というイメージだけど、ストライカーがたくさんいる印象。南米選手権もそうでしたけど、対戦することで成長できる。だからこそ、やっぱり試合に出ないといけない」と意気込み「やってみたいチーム、選手は特に意識していない。そういうことは、試合に出ないと言えない」と堅実に語った。

ボローニャのミハイロビッチ監督が白血病と公表したことには「(契約前に)電話で話す機会がありましたが、非常に情熱がある方でした。自分の守備や攻撃のスタイルを見てくれていて、話してくれました。監督が病気に負けないとコメントしたことを記事で読みましたし、一緒に戦っていきたい」と話した。

来夏の東京オリンピック(五輪)に向けた出場意欲も示し「森保さんからは、常に試合に出続けろと言われてますし、ボローニャで1年間ゲームに出られれば自然と五輪も見えてくる。五輪に出たい気持ちはチームにも伝えていますし、来年につなげていきたい」と抱負を語った。

オフ中は古巣のJ2アビスパ福岡の練習に参加。自身より早い18歳でセリエAデビューを飾った森本貴幸(当時カターニア)が所属しており、イタリアの印象も質問した。「モリ君もミハイロビッチさんと半年くらいやっていると聞きました。いろいろプレー以外のところも話して。最初はイタリア語がしゃべれなくても、チームメートとの食事にどんどん付いて行けば、覚えるし、そうやってチームに入っていったと聞いたので、チャレンジしたい」と情報収集もした。

既に始まっている合宿に合流し、当面の目標は「開幕スタメン」。アジア杯カタール大会や南米選手権で感じた「力不足」の思いを糧に「もっと後ろからチームを動かせるような選手になりたい」とカルチョの本場に飛び込む。【木下淳】