【マドリード13日=高橋智行通信員】昨季スペインリーグ覇者の超名門レアル・マドリードの下部組織に在籍するMF中井卓大(16)が12日、“飛び級”でトップチームの練習に参加。各国代表メンバー不在、負傷者続出を受け、ジネディーヌ・ジダン監督(48)によって17日の同リーグ、カディス戦(ホーム)に向けた練習に中井ら下部の選手が招集された。スペイン紙アス(電子版)は練習で中井の動きが際立っていたと報じた。

12日午後に練習が再開されたレアル・マドリードのトップチームに、16歳となる愛称ピピこと、中井の姿があった。17日のカディス戦に備えたトレーニング。ジダン監督のもと、代表招集されなかった主力選手らとともに「ピピ」がボールを追った。ビリャレアルに期限付き移籍中の日本代表MF久保も、レアルの日本人選手。アス紙は「ジダン監督がレアルのもう1人の日本選手『ピピ』を呼んだ」と報じた。

チームは各国の代表活動で10選手が不在。中井と同じMFはドイツ代表クロース、クロアチア代表モドリッチら、6人中5人が不在。さらに、7選手が負傷中だといい、下部組織から複数の選手が呼ばれた。元フランス代表の超大物FWベンゼマらと一緒に練習している中井の写真とともに、アス紙は「トップチームの選手とともに練習した中で、日本の若者“ピピ”が練習で際立っていた」と絶賛した。

中井は9歳だった13年、レアルの下部組織に加入した。今季は18歳以下、高校年代のカテゴリーのフベニールBに所属。本職のトップ下のほか、ボランチでのプレーも経験し、プレーの幅を広げている。また、Bチームの3部相当のリーグで戦うカスティージャを率いるクラブOBで元スペイン代表FWのラウル監督にも実力を認められ、ここ数週間で3度も練習に呼ばれていたという。

さらに同紙はクラブ側がフベニールA(19歳以下)でプレーすることを期待しており、順調に成長を続ければ、カスティージャでも試合に出場も可能だと伝えた。今回のトップチーム合流という一気の“飛び級”の招集も自然の流れだったようだ。

中井は今月8日、英紙ガーディアンで「ネクスト・ジェネレーション2020」と題した2003年生まれの世界で才能ある若手60人のうちの1人に選出されたばかり。アス紙は「単なる月曜日の練習ではない。中井にとって、最も重要な1歩」と伝えた。久保に続き、中井の注目度も高まりつつある。

<中井卓大(なかい・たくひろ)>

◆生まれ 2003年(平15)10月24日。滋賀県出身。

◆サッカー歴 アスール滋賀でプレー。レアル・マドリードの日本キャンプに参加して優秀選手に選ばれ、翌年、9歳でレアルの下部組織入り。主にMFでプレーし、順調にステップアップしている。

◆日本代表 18年10月に初めてU-15日本代表に招集された。

◆愛称 幼少期に思い通りのプレーができないとピーピー泣いていたことから、愛称はピピ。スペインでもそのまま「PIPI」。

◆天才ぶり DFマルセロが15年4月、当時11~12歳の選手が所属するアレビンAを訪れた際、中井がバックステップで高速ドリブルする姿に「ワ~ォ!」と驚き拍手。クラブ公式サイトがその模様をアップし、世界中で話題に。

◆仲良し 同じスペインのエイバルでプレーするMF乾貴士とは同じ滋賀県出身でもあり親交が深い。乾はSNSにツーショット写真を何度もアップ。

◆サイズ 180センチ、62キロ。