38歳のレジェンドが頂点に立った。DF長谷部誠(38)とMF鎌田大地(25)が所属するアイントラハト・フランクフルト(ドイツ)が1-1からのPK戦を5-4で制し、レンジャーズ(スコットランド)を撃破。42年ぶり2度目の優勝を飾った。

長谷部は後半13分から途中出場。キャプテンマークを巻いて最終ラインを統率し、チームを勝利に導いた。フル出場しPK戦の3人目でしっかり決めた鎌田は、20日に発表される日本代表への復帰が確実視されている。

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指揮官は迷いなく38歳のベテランをピッチに送り出した。後半12分、DFトゥタが相手FWアリボに振り切られて転倒。先制ゴールを決められた。同DFが負傷した上、チームを浮足立たせないためにも長谷部の力が必要。失点の1分後、トゥタに替わって出番がやってきた。

キャプテンマークを巻いて3バックの中央に入った長谷部はピッチ上の誰よりも冷静で堂々としていた。「長短のパスでアクセントをつけられればいいと思った」。的確な配球で味方に落ち着きを与え、守備の1対1でも踏ん張った。

流れを取り戻したEフランクフルトは同24分にボレが同点ゴール。その後はプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたGKトラップの好守もあり、PK戦にまでもつれた死闘を制した。

世界的に有名なサッカーサイト「Squawka.com」は採点で、トラップの9点に次ぐ8点を長谷部に与え「ベンチから登場し、素晴らしい、年齢を感じさせないプレーを披露。レンジャーズFW陣と戦った。重要な場面で相手を阻止し、DFラインを統率した」と高く評価した。

長谷部は今年2月、27年夏までとなる異例の長期契約を結んだ。選手としては来季までプレーを続け、その後は引退してコーチングスタッフに加わる見通しだという。今季ブンデスリーガでは11位とふるわなかったEフランクフルトだが、欧州リーグ優勝で来季欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場権を得た。長谷部が有終の美を飾るための大舞台が用意された。

 

◆欧州リーグ 欧州サッカー連盟(UEFA)主催大会の1つで、最高峰の欧州チャンピオンズリーグ(CL)に次ぐ格付けの欧州カップ戦。1971年にUEFA杯としてスタート。従来の大会方式、名称を変更し、09-10年シーズンから「欧州リーグ」となった。各国リーグの上位チームや欧州CLを勝ち上がれなかったチームなどで争う。優勝すると翌シーズンの欧州CL出場権を獲得する。最多優勝はセビリア(スペイン)の6回。

◆欧州リーグでの日本人 これまではフェイエノールト(オランダ)時代の小野伸二が唯一優勝を経験している日本人選手だった。01-02年シーズンに前身のUEFA杯決勝でドルトムントと対戦。小野は先発して後半40分までプレーし、アシストを決めて3-2の勝利に貢献した。Eフランクフルト長谷部は18-19年シーズンにも4強入りの経験がある。準決勝で優勝したチェルシー(イングランド)に2戦合計2-2からのPK戦で3-4と敗れた。長谷部は2戦ともフル出場。鎌田は当時、シントトロイデンに期限付き移籍していた。