【セビリア(スペイン)2日(日本時間3日)=高橋智行通信員】日本がW杯1次リーグE組で12月2日に対戦するスペインは、欧州ネーションズリーグAの2組でポルトガルと1-1で引き分けた。先制点の起点となったのが17歳のMFガビ(バルセロナ)。日本で言えば“高校3年生”が、強豪国でレギュラー格としてプレーしている。日本代表の脅威となりそうなガビとは何者なのか。現地からリポートする。

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9番を背負い中盤で威風堂々とプレーするガビの姿を見て、トップチームデビューからまだ1年もたっていない選手だと誰が思うだろうか?

前半25分に自陣からドリブルで持ち上がり、サラビアにパスを通してモラタのゴールにつなげた。続けて同29分には、左サイドから中央のソレールへ決定的なパスを通した。得点とはならなかったが、存在感は際立った。その後も相手の一手、二手先まで読んだクレバーなプレーを披露。後半36分までピッチに立った。

ルイス・エンリケ監督は「ピッチを走り回り、闘い、トップレベルの守備をするだけでなく、ボールを持てば本当に特別な選手だ。ラストパスを出すことができ、得点力やヘディングシュートに優れ、圧倒的な身体能力を備えている。唯一無二の選手」と絶賛した。

ガビは11歳の時にベティスからバルセロナの下部組織へ加入。以降、順調にステップアップしていき、16歳にしてプロ契約すると、昨年8月にスペインリーグでデビューした。昨季の公式戦成績は47試合(先発36試合)2得点5アシスト。リーグデビューから1カ月後にはスペイン代表にも選出され、そこから全7試合に出場(先発6試合)。すでに大きな存在感を発揮しており、レギュラーとしての地位を確立しつつある。

ガビがスペイン代表で即座に成功を収めている要因の1つとして、バルセロナが同じ4-3-3で戦っていることが挙げられる。左右のインサイドハーフをベースに中盤のさまざまなポジションでプレーでき、ルイス・エンリケ監督の戦術に瞬く間に適応した。

ドイツの移籍情報サイト「トランスファーマーケット」による市場価値は6000万ユーロ(約84億円)。17歳にして世界のサッカー界のトップ50入りを果たしている。今冬のW杯で間違いなく大きな注目を集める選手になりそうだ。

◆ガビ 2004年8月5日生まれ、スペイン・アンダルシア州出身。バルセロナ所属。昨年8月のヘタフェ戦でクラブ史上4番目の若さでスペインリーグデビュー。同年10月6日に行われた欧州ネーションズリーグ準決勝イタリア戦で17歳62日の最年少デビューを果たす。17歳284日で記録保持者だったアンヘル・スビエタ(1918~85年没、MF)を200日以上も上回った。173センチ。

◆W杯年少出場 ガビはW杯カタール大会初戦(ニュージーランドかコスタリカ)の11月23日で18歳110日。出場すれば、06年大会でMFセスクがマークした19歳41日というスペインのW杯最年少出場記録を更新することになる。バルセロナなどで活躍したセスクはその4年後の10年大会で同国の初優勝に貢献している。W杯の歴代最年少出場記録は82年大会の北アイルランド代表FWノーマン・ホワイトサイドの17歳41日だが、18歳110日での出場となれば、アルゼンチン代表FWメッシが06年大会で記録した18歳357日も抜くことになる。