日本代表から戻ったブライトンMF三笘薫(25)が、日本人のシーズン最多記録を更新した。ホームのブレントフォード戦で、絶妙なループシュートを決めて今季リーグ戦7ゴール目。

並んでいた香川真司と岡崎慎司の記録を更新した。カップ戦と合わせて今季公式戦では通算10得点と大台に乗せ、南野拓実の日本人最多記録に並んだ。最高のフィニッシャー(点を決める存在)へ。さらにゴールを重ねていく。三笘はフル出場し、試合は打ち合いの末に3-3で引き分けた。

   ◇   ◇   ◇

持ち前の圧倒的なスピードで相手DFをぶっちぎった。1点を追う前半21分。三笘はGKスティールのロングフィードに全速力でDF裏へ抜け出した。相手GKの位置を確認し、「ループの方がいい」と瞬時に判断。ペナルティーエリア外から右足で技ありのシュートを決めた。デゼルビ監督は「練習してきた形」と、準備してきたプレーに納得の表情を浮かべた。

三笘は「打ってくださいという素晴らしいボールだった」と味方GKに感謝した。これで香川真司(12-13年、当時マンチェスターU)、岡崎慎司(17-18年、同レスター)を上回る日本人シーズン最多記録7点を打ち立てた。イングランド・リーグ杯の1点、FA杯の2点を加えると今季公式戦10得点。こちらも南野拓実(21-22年、当時リバプール)に並ぶ日本人最多タイ記録だ。

香川と岡崎の記録を抜いたが「超えられたのは良かったが、まだまだいける」とあくまでも貪欲。「ウイングの選手が機能しやすいチームなので、スコア(得点)は求められる。これを続けていきたい」と今後のゴール量産も誓った。

三笘の売りはスピードだが、ただ速いだけではない。素早い判断によるドリブルのコース取りも絶妙。左サイド敵陣深くに進入する縦への突破、中央へのカットインからシュートと、いずれの動きもできる。スピード、プレー強度が高い、最高峰のプレミアリーグで成長は加速。その動きは予測不能で、イングランド代表DFアレクサンダーアーノルド(リバプール)ら代表クラスが翻弄(ほんろう)されている。

3月の日本代表の国際親善試合では先発で2試合に出場。28日のコロンビア戦では高い打点から国際Aマッチ戦初ヘディング弾を決めた。その後の失点で逆転負けを喫し、「今日のような試合をもう1回しないように、クラブに帰って実力をつけてきたい」と決意を新たにしていた。

代表活動から英国に戻ってきて、いきなりの活躍。「オーストラリアから帰ってきて出ている選手(エクアドル代表の2人)もいる。そういうことをやらないといけない」と、長旅の疲れを見せるそぶりはまったくなかった。

○…三笘について地元メディア「サセックス・ライブ」は採点でチーム最高タイの7点(10点満点)を与えた。寸評では「前半、クールなループシュートで見事にゴールを決めた。ボールが来れば常に危険な存在だったが、本人が望むほど、DFに仕掛ける場面は多くなかったかもしれない」などと記した。また「サセックス・ワールド」の採点はチーム2位タイの7点。「何という同点ゴール。見事なループで、彼はフィニッシュの方法を知っている」などとした。

◆三笘の今季成績 開幕からチームの公式戦12試合までの先発はリーグ杯の1試合だけで、215分の出場で無得点だったが、W杯カタール大会開幕前の昨年10月29日のチェルシー戦でリーグ戦初先発で初アシストを記録。2試合連続の先発となった11月5日のリーグ戦ウルバーハンプトン戦で初ゴールをマークすると、以降は公式戦20試合のうち17試合に先発し、1547分の出場で10得点。ピッチに立つ時間が増えるにつれて目に見える結果を残すようになり、最近は公式戦6試合連続でゴールかアシストを記録している。