横浜FCと、FWカズ(三浦知良、56)が所属しているポルトガル2部オリベイレンセの「日欧マルチクラブオーナーシップ」のメディア向け説明会が19日、横浜市内で行われ、オリベイレンセのU-23チームの立ち上げが発表された。早ければ来季に、ポルトガルでのリーグ参戦が決まる。 オリベイレンセは、横浜FCを保有するONODERA GROUPが経営権を取得しており、Jリーグ初のマルチクラブオーナーシップ(MCO=1つのオーナーが、国籍の異なる複数クラブを保有する)となっている。

MCOの利点を生かし、今季は横浜ユースのMF永田滉太朗(18)がトップとプロ契約を結び、オリベイレンセへ期限付き移籍。Jリーグを経由せず、ポルトガルでプロ生活をスタートさせている。永田はオリベイレンセのU-19で公式戦デビュー。トップチームでも練習をしており、現在はトップデビューも目指している。

オリベイレンセにはU-19はリーグ参戦しているが、U-23はなかった。日本ではかつて、エリートリーグやJ3のU-23チームはあったが現在はなく、高卒からプロになる場合、一部の選手をのぞき公式戦出場の機会は少ない。公式戦出場を求め、大学を経由し、プロの世界に入る選手も増えている。

横浜FCの山形伸之CEOは「海外で、18歳から21歳の選手の公式戦の出場環境をつくり、欧州で経験を積みステップアップできる環境を提供できれば」と期待を寄せる。現在、リーグ参戦の申請をしており、申請が通れば来季から、U-23チームのポルトガルでのリーグ参戦が決まる。

欧州では、各国のリーグのスカウトが視察に訪れるのが日常だ。オリベイレンセは主要都市・ポルトに近く、スカウトが視察しやすい。ステップアップできれば、移籍金や連帯貢献金が横浜FCに入ることになる。実際、横浜FCからベルギー2部ロンメルに移籍したFW斉藤光毅(22)は、クラブに2億2000万円の移籍金、斉藤が育った横浜FCのアカデミーに約800万円の連帯貢献金を残した。連帯貢献金で、アカデミーの人工芝が新調された。

神奈川県は、育成年代でも横浜F・マリノス、川崎フロンターレなど強豪クラブがひしめく。育成年代の選手獲得の競争が激しい中、横浜FCからオリベイレンセへの海外挑戦の道が開かれるのは、中高生の取っ手は魅力になる。MCOの強みを生かし、語学の勉強や生活面のサポートもあるのも大きい。山形CEOは「永田選手の実績を見て、自分もという選手が出てくる手応えはある。結果を出す中で実例が増えてくれれば」と話した。