現役時代にスペイン代表でワールドカップ(W杯)を制しているシャビ・アロンソ監督(42)が、創設120年のレーバークーゼンに初優勝をもたらした。

ホームでブレーメンに5-0と圧勝。25勝4分けの勝ち点79とし、5試合を残してバイエルン・ミュンヘンの12連覇を阻んだ。今季は公式戦43試合無敗。ドイツ杯で決勝進出、欧州リーグも準々決勝に勝ち残っており、3冠に向けて突き進む。

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シャビ・アロンソ監督の偉業を前に、サポーターは我慢できなかった。後半36分、4点目が決まるとピッチに次々となだれ込んだ。昨季まで11年間も続いたBミュンヘン時代に終止符。資金力が物言う欧州サッカーにあって、こんな痛快な成功物語はない。若き指揮官も興奮を抑えられず「信じられない。監督として初めてのフルシーズンなんだから」。ドイツ伝統のビールシャワーを浴びた。

2022年10月、17位と低迷する中で若き指揮官が就任した。トップチームの監督経験なし。それでもスペイン代表の司令塔として数々の栄光を手にした男は、指導者としても超一流だった。今季補強したシャカら5人の移籍金は5900万ポンド(約113億円)。Bミュンヘンがケーン1人に支払った分(約160億円)よりもかなりの少額だった。

弱者の戦法でなく真っ向から立ち向かう。かつてのスペインを想起させるテンポのいいパスワークと連動性。そこへハイプレスを加味したトータルフットボールで、今季失点数はBミュンヘンの半分の19(1試合平均0・65)という少なさだ。何より誠実さ、選手第一主義の姿勢が一体感を生み出す。公式戦43試合無敗「無敵艦隊」の将は、「最高のパフォーマンスを見せてくれた彼ら全員を誇りに思う」。この物語にはまだまだ続きがありそうだ。

◆レーバークーゼン 1904年、ドイツの大手製薬会社バイエル社の従業員が創設。同社は現在もメインスポンサー。ドイツ杯1度、UEFA杯1度優勝。OBにジョルジーニョ(ブラジル)バラック(ドイツ)ら。日本人では風間八宏(現南葛SC監督)細貝萌(現J2群馬)も元所属。本拠地バイ・アレーナ(3万210人収容)。

◆シャビ・アロンソ 1981年11月25日生まれ、スペイン・バスク州出身。Rソシエダード、エイバルを経てリバプールで司令塔として活躍。04-05年欧州チャンピオンズリーグ決勝でACミランを破り優勝。Rマドリード、Bミュンヘンでもプレーして17年5月に現役引退。スペイン代表では08年、12年欧州選手権連覇、10年W杯南アフリカ大会優勝。国際Aマッチ114試合16得点。引退後はRマドリードユース、RソシエダードBで監督を務めた。