<オランダ2部リーグ:VVV1-0ハーレム>◇24日◇フェンロ

 オランダ2部VVVのMF本田圭佑(22)が、決勝アシストでチームをリーグ優勝と1部復帰に導いた。24日のハーレム戦にキャプテンマークを巻いてフル出場。後半37分、自らが倒されて得たFKでFWレーマンスのゴールを演出した。今季は16得点(2部6位)、13アシスト(同1位)と大活躍。本田は「もっとレベルの高いところでプレーしたい」と話し、現地メディアは、同国1部を制し来季欧州チャンピオンズリーグに出場するAZへの移籍を有力視している。

 本田の笑顔がはじけた。VVVの主将として優勝カップを受け取ると、誇らしげに頭上に掲げ、チームメートとともに歓喜の声を上げた。「今日決まるとは予期していなかったので、優勝した瞬間は何とも言えない思いがこみ上げてきた」。2位RKCが敗れたため、2試合を残しての優勝決定。10番を背負い、シーズンを通して活躍して勝ち得た1部復帰の喜びは格別だった。

 後半37分、ドリブル突破を図った本田が倒された。左サイドからのFK。左足でゴール前へ入れたボールにFWレーマンスが飛び込んだ。今季2部トップとなる13アシスト目は、本田らしい正確かつ鋭いクロスだった。「今だから言えるけど、チームを優勝させないといけない立場にいてプレッシャーは尋常でなかった。ほっとしている部分が大きい」。強心臓で鳴らす男の口から、本音が漏れた。

 移籍1年目の昨季はチームが2部に落ち、北京五輪の惨敗ショックが重なった。無力感にさいなまれる中、浦和から獲得オファーが届いた。しかし環境のいい日本でなく、あえて言葉の通じない欧州で苦労することを選んだ。自らの手でチームを1部に復帰させたい-。過去に例をみない欧州クラブでの日本人主将という立場を手に、チームを引っ張り続けた。ベルデン会長は「本田がいなかったら、王者になることはできなかった」。この言葉がすべてを物語っていた。

 2部とはいえ、得点ランク6位の16ゴールを記録した。本田は「自分に求められているのは数字。今はアシストの魅力は感じない」と言い切る。名古屋時代はJ1通算90試合で11点。オランダで得点への意識と技術は磨かれた。待望の1部復帰にわくチームにあって「もっとレベルの高いところでプレーしたい」と、移籍を示唆する発言まで飛び出した。地元メディアは既に来季欧州CLを戦うAZへの移籍を有力視。欧州でひと皮むけた男が、さらなる飛躍を狙っている。(エリーヌ・スウェーブルス通信員)

 [2009年4月26日7時30分

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