「無敵艦隊」スペイン(FIFAランキング2位)がフランス(同3位)を2-0で下し、4大会ぶりの決勝進出を果たした。19歳のバルセロナコンビが躍動。FWラミン・ヤマルが先制点のPKを誘発すれば、DFパウ・クバルシは今大会8得点のエムバペを巧みなDF網に引っかけて完封勝利に貢献した。イタリアに並ぶ国際Aマッチ最長の37試合負けなし。記録更新がかかる19日(日本時間20日)決勝では、イングランド-アルゼンチンの勝者と対戦する。
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エムバペが頭を抱えた。2点を追う追加タイムの後半52分、ボックス外から右足で狙ったが大きくゴール枠を超えた。天を見上げ、フーッとため息を吐く。今大会猛威をふるってきた男を90分通して消した。シュートを打ったというより、打たされた形だ。もう脱帽するしかなかった。そのエムバペとマッチアップしていたのがクバルシだった。
的確なポジショニングと状況判断が光った。レ・ブルーの10番の背中を常に視野に入れ、相手が後方へ下がれば深追いはしない。左CBラポルト、アンカーのロドリ、右DFポロと巧みな包囲網で囲い込んだ。さすがのエムバペもこの日は仕事にならなかった。
勝利のミックスゾーン、折り目正しい19歳は破顔した。「非常に難しい試合になることは分かっていました。私たちは一つの大きな家族で90分間ずっと助け合い、これまで以上に全力を尽くしました。素晴らしい出来で、チーム全員の努力をとても誇りに思います」。試合2日前には「エムバペは怖くない」と発言して話題となったが、そこは奮起を込めたものだ。そして最高の達成感を得た。
10代2選手が準決勝に先発するのは史上初。神童ヤマルが何かと注目されるが、クバルシも大ブレーク中だ。バルセロナの育成組織「ラ・マシア」でともに育ち、スペイン代表でも攻守の軸となった。自由奔放な天才型のヤマルに対し、クバルシは堅実かつクレバーな秀才型。2-0とした直後の後半16分にはヤマルにスルーパスを通し、ゴールネットが揺れた。わずかに飛び出しが早くオフサイドで取り消されたが、2人の存在感は抜群だった。
37試合負けなし。「無敵艦隊」と呼ばれるスペインの強さとは何か? クバルシも口にする「家族のような一体感」だろう。ベテランの30代もいれば、脂が乗った20代後半、そこへ19歳コンビまで。それぞれの個性がハーモニーのごとく響き合い、攻守に組織美を織り成していく。16歳から代表入りするヤマルはもちろん、今大会7試合全フル出場中のクバルシもピッチに立てば遠慮がない。今大会わずか1失点と一戦ごとにチームの結束力は深まる。
過去にW杯決勝の舞台に立った10代は3人だけだ。クバルシはその偉業にヤマルとともに続く。「これからとても特別な日々がやってきます。私たちはニューヨークへ行きます。夢はまだ続いていて、試合が来るのを心から楽しみにしています」。無失点の先には2度目の栄冠が待っている。
◆パウ・クバルシ 2007年1月22日生まれ、スペイン北東部のジローナ県にあるエスタニョールという小さな村の出身。ジローナの下部組織に7歳で入り、11歳からバルセロナにスカウトされて入団。DFとして23年に16歳でプロ契約し、24年1月にトップチームデビューを果たす。24年に代表デビューし、国際Aマッチ19試合。184センチ、78キロ。
▼10代2人が先発 スペインは19歳のFWヤマルとDFクバルシがフル出場し、決勝進出に貢献。W杯の準決勝で2人の10代選手がそろって先発は史上初となった。過去に10代で決勝に出場は、58年のFWペレ(17=ブラジル)82年のDFベルゴミ(18=イタリア)18年のFWエムバペ(19=フランス)と3人。いずれも優勝に貢献したが、同一チームの10代選手2人が決勝にそろって出場すれば、W杯史上初となる。
▼連続試合無敗 スペインは24年3月26日の国際親善試合ブラジル戦(3-3)から国際Aマッチ37試合連続負けなし(28勝9分け)。18~21年にイタリアがマークした37戦無敗の世界記録に並んだ(PK戦は引き分け扱い)。最後に負けたのは24年3月22日の国際親善試合コロンビア戦(0-1)。36戦無敗はアルゼンチンが19~22年に記録。


