1月の箱根駅伝を2連覇した青学大2年生の下田裕太(19)が初マラソンで10代日本最高記録(2時間15分30秒)を塗り替える2時間11分34秒で10位、日本人2位と躍進した。

 ゴールの東京ビッグサイトが目に入ると、下田にラストスパートのスイッチが入った。「憧れの地ですから!」。大好きな同人誌系アニメが一堂に会するコミックマーケットの会場だからこそ、気合が入った。後ろから追っていた1年先輩の一色も「大好きだから。いきなりペースが上がった」とあきれるモチベーションでフル回転。2学年上の服部を41キロ過ぎにとらえ、ゴール前では無邪気にガッツポーズを連発した。

 「カエルがつぶれたような走り」。それが14年入学当初の下田だった。静岡・加藤学園高では無名。ただ、我流のぎこちない走りは「生命力がある」と原監督の目にとまった。「乳離れが遅かったからかな」と冗談交じりの丈夫さで骨折経験はなし。猛練習に耐えられる体で、「短距離選手のような格好いい走り」と自賛するまで改善された。そして頑丈ゆえに「長い距離を走った方が伸びる」と始めたマラソン挑戦で「未来に希望を持てる」結果を残せた。

 7月に始めたマラソン練習の延長で、今大会挑戦を決めたのは昨年11月。フルを走ったのも2回だけで、「欲がないまま」スタートラインに立ったという。「当面の目標は箱根の3連覇」と話す超新星。無欲が生んだ衝撃に、周囲は希望を見る。