男子100メートルで日本人初の9秒台突入が期待される桐生祥秀(21=東洋大)は、決勝で10秒11(追い風0・4メートル)をマークし、2位となった。1位のモシト・レハタ(レソト)と同タイム。予選は10秒14(追い風0・8メートル)だった。桐生は8日(日本時間9日未明)にローマでダイヤモンドリーグ第4戦、ゴールデンガラに出場する。

 日本男子初の9秒台へ、期待が高まる前哨戦となった。追い風0・4メートルで10秒11。今回の欧州遠征で勝負どころと定めるローマでの8日のレースに向け「スピードも上がってくると思うし、自分を信じて走りたい。楽しみ」と胸を躍らせた。

 予選は序盤の加速で抜け出して伸びるという得意のパターン。決勝は隣の選手と接戦となったが、力むことなく予選より記録を縮めた。現地では市内観光も楽しみ、本格的な練習は1日だけ。それでも内容のある走りだった。「9秒台は出る。今は手が届くところにある」という土江コーチは「完璧な状況でない中、非常に評価できる」と目を細めた。

 ローマの大会はプラハ国際より格が高く強豪がそろう。気候も暖かく、記録は出やすい。桐生自身「ローマではタイムを出さないと勝負できない」とみるが、それは望むところ。「日本選手最初の9秒台は譲れない」と語る笑顔が手応えを物語った。