2度目の50キロ挑戦となった野田明宏(22=自衛隊)が、日本歴代8位となる3時間45分56秒で初優勝を果たした。28キロ手前でトップに立つと、そのまま差を広げた。2位の15年世界選手権銅メダリスト谷井孝行(35=自衛隊)に6分37秒差をつけた。ジャカルタ・アジア大会(8月開幕)の代表入りに名乗りを上げた。

 野田はレース展開を冷静に読み切っていた。序盤は谷井と管野に先行を許すも「必ず落ちてくる」とレース前に設定した2キロ、9分~9分10秒のペースを貫くと、28キロ手前で2人を抜き去った。実戦では未知の40キロ以降は「我慢」と言い聞かせて、最後まで歩き続けた。「(50キロ)2戦目の優勝はうれしい。これを機にしっかり練習を積みたい」と笑顔。アジア大会代表にも大きなアピールで、今村五輪強化コーチも「有力な候補の1人」と述べた。

 初めて50キロ競歩に挑んだ16年全日本競歩高畠大会は、低体温症や脱水症状などで35キロすぎに途中棄権。救急車で病院へ運ばれたが、当時の記憶はない。ただ20キロでは瞬発的なスピードが足りず、世界で戦えないと実感していた。だから今春の明大卒業後の進路には、50キロで世界を知る谷井や荒井のいる自衛隊を選んだ。ともに練習し、自信を付け、給水など細かい調整法も学んでいる。「強い先輩たちの中に食い込めるように」。15、17年世界選手権、16年リオオリンピック(五輪)とメダルが続く男子50キロ競歩にまた新星誕生の予感が漂う。

 ◆男子50キロ競歩アジア大会代表への道 代表は最大2人。選考競技会は全日本競歩高畠大会(昨年10月)、日本選手権、世界競歩チーム選手権(5月・中国)。各競技会で3位以内の中から記録、順位、天候などの観点から本大会で活躍が期待される選手を選ぶ。全日本競歩高畠大会は勝木が3時間48分36秒で優勝。世界競歩チーム選手権には、昨夏の世界選手権でそれぞれ2、3、5位の荒井、小林、丸尾が出場。荒井はアジア大会は回避する意向を示している。