シカゴマラソン(現地7日)に出場する川内優輝(31=埼玉県庁)が3日、成田空港発の航空機で渡米した。

夏の暑さで練習を積めなかったそうで、状態は「よくないですね。いい時の50パーセント」。16年リオ五輪銅メダルのゲーレン・ラップ(米国)、五輪2大会連続で5000メートル、1万メートルの2冠に輝いたモハメド・ファラー(英国)、日本歴代7位の記録を持つの大迫傑(27=ナイキ)ら多士済々のメンバーとの対決になるが「今のベストを尽くすしかない」と少し弱気だった。

3月末で埼玉県庁を退社し、プロランナーとなる。「今は市民ランナーとしての限界だったのかな」と話し、来年度からのプランと覚悟を熱く語った。

今夏の失敗を繰り返さないため、来年の夏は北海道・釧路で約1カ月の合宿をする計画という。時間の制約がある公務員ランナーではできない長期の合宿を敢行し、現地でのレースに出場する。「涼しい所に行きたければ行ける。今は言い訳をしちゃっていますが、来年は夢、希望がふくらむ」と思いをはせた。

今の本業は公務員。走ることは“副業”のような位置付けだけに、コンディションが悪くても仕方ない。しかし、プロランナーとなれば、走ることだけが仕事。その思いをぶちまけた。

「もう言い訳できない。1年後も同じことを言っていたら、『調子に乗るな』と言ってもらって結構です」

公務員ながら、日の丸を背負った国際大会で結果残せなければ誹謗(ひぼう)中傷の電話や手紙が職場に届いた。12年ロンドン五輪出場が絶望となった時には、期待に応えらなかった自責の念から丸刈りで謝罪会見までした。

「アマチュアでもボロクソに言われるならば、プロでボロクソに言われた方がいい」

そう言い残して、出発ゲートへと向かった。