全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。前回2位のホンダは、マラソン前日本記録(2時間06分11秒)保持者の設楽悠太(27)を軸に初優勝を狙っている。過去のニューイヤーでは最長区間の4区を4回走り区間賞3回と、駅伝でも絶対的な存在だ。設楽が4区で築く優位を生かすことができれば、旭化成・富士通・トヨタ自動車の3強と優勝争いを演じられるはずだ。

設楽は12月2日の福岡国際マラソンに出場したが2時間10分25秒で4位と優勝した服部勇馬(トヨタ自動車)に約3分の大差をつけられた。本来なら1カ月後のニューイヤー駅伝に不安が残るケースだが、設楽の場合は当てはまらない。

16年ぶりの日本新を出した2月の東京マラソンで、右脚すねを疲労骨折。9月に5000メートル、10月に1万メートルの記録会に出場したが、小川智コーチ(40)によればこの2試合はあくまでも復帰のためのレースという位置づけだった。マラソンに向けての“設楽流連戦”は、11月の東日本実業団駅伝(7区区間賞)と上尾ハーフマラソン(1時間1分59秒)の2試合のみ。設楽本来の連戦するスタイルが十分できなかったことが、福岡の敗因だった。逆に3月の東京マラソンに向けて始まった“設楽流連戦”に、福岡もニューイヤー駅伝も組み込まれている。

「僕は試合が続くからといって駅伝を外した(成績が落ちた)ことはありません。マラソンに向けてとにかく、試合を全力で走ることが重要です」。

ニューイヤー駅伝は前回区間賞の4区での出場が有力。最長区間は前回からコースが一部変更になった。「しんどかったですね。前半からこぶ(起伏)が何カ所かできて、その分きついコースになりました。それまでは区間上位はそれほど差が開かなかったのですが、前回は区間2位の選手と30秒くらい(34秒)の差でした」。日本記録を出した東京マラソンでもそうだったが、「きつい」「やめたかった」などの言葉を発しながらも、最後まで頑張るのが設楽である。上記のコメントも自信の表れととるべきだろう。

設楽を生かすには、他の選手たちの頑張りが必要だ。チーム2番手の山中秀仁(25)は前回大会では5区を走り、旭化成とほぼ同時の2位で設楽からタスキを受けた。区間2位と好走したが、村山謙太(旭化成)に14秒の差をつけられて6区の石川末広(39)にタスキを渡した。今回も山中が5区を走るようならトップでタスキを受ける、もしくはそこでトップに立つ展開が考えられる。また3区なら山中でトップに迫り、4区の設楽で先頭に立つレースプランになる。山中は「(前回の5区は)まだまだ力不足でした。もっと質の高い練習をして、どの区間でも区間賞を目指します」と自信を見せた。

11月3日の東日本予選ではホンダは4位。チーム全体に故障明けの選手が多かったことが原因で、その後のチームの調子は上向きだ。他の選手が踏ん張れば、設楽が必ず見せ場を作るはずだ。