男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(27=ナイキ)が9日、東京・江東区の新豊洲Brillliaランニングスタジアムで行われた「ランニングイベント Supported by マニュライフ生命」にゲスト参加した。

途中棄権となった東京マラソン翌日の4日のイベントは欠席したが、この日は中学生50人の前に元気な姿を披露。陸上男子800メートルでロンドン五輪に出場した横田真人氏(31)とともに、実際自分が行っているトレーニングを指導した。

最初にウオーミングアップのやり方として、歩きながら動きを止めずにつま先を立て、ハムストリング(太もも)を伸ばしたり、もも上げではなく「もも下げ」の意識で地面からしっかり反発を受ける足の蹴り方などを指導。大迫は「姿勢を一直線にした状態でやることが大事」と実際に手本を見せながら、子どもたちに一流の技術を伝授した。

技術指導の後にはトークショーにも参加。「野球少年だった小学生の時にマラソン大会に出て、個人競技の方が合っていると思った」とマラソンを始めたきっかけや、オフの日には「子どもと遊んだり家族と出かけてリラックスしている」とプライベートな話も披露した。

後半は子どもたちからの質問にも丁寧に答えた。練習しているが、成績が出ずに悩んでいる子には「そこまでのプロセスが大事。自分が頑張ったならそれは1つの勝ち。結果にこだわりすぎずプロセスに納得して自信を持って欲しい」とアドバイスした。また、ケガで練習ができていない時のモチベーションについての質問には「無理してやるとその先の選手生命に影響が出る。走ることだけでなく今できることを考え、それができたときの喜びを見つけることが結果につながる」と答えた。

終了後には報道陣の取材にも応じ「(自分が)小さいころには情報がなく、このような教室に参加できなかったので、とても貴重だと思う。指導しながら子どもたちにもエネルギーをもらった。今の純粋な気持ちを忘れずに目標を持ち続けて欲しい。自分も興味を持ってもらい、目標とされる選手になりたい」と語った。

「継続が1番大事」と言う大迫。次戦となる9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)については「やることは変わらない。地道にコツコツとやっていく」と決意を語った。大迫は今後再び米国に戻り、東京五輪出場をかけた大一番へ調整を続けていく。【松熊洋介】