陸上の女子長距離の名指導者で、24日に80歳で死去した小出義雄さんの葬儀・告別式が29日、千葉県佐倉市の斎場で営まれ、陸上関係者ら約600人が参列して名伯楽の旅立ちを見送った。00年シドニー・オリンピック(五輪)金メダルの高橋尚子さんは18日に小出さんに送った手紙の内容を読み上げる形の弔辞で、優しい口調で感謝の思いを伝えた。小出さんの戒名は「春陽院昌走義監居士」。

恩師の遺影の前に立った高橋さんは涙をこらえながら少しかすれた声で「高橋です、Qです」と話し始めた。生前最後のお見舞いとなった18日、小出さんに「持ってきた手紙を読んでくれ」と頼まれた。高橋さんは「ここで読んだら最後になってしまうかも」と思い「次すぐにまた持ってきます」と断って部屋を出たが、その時の笑顔と手を振る姿が忘れられず「ちゃんと読んで願いをかなえておけば良かった」と後悔した。

小出さんとの「文通」が始まったのはある大会の前夜。高橋さんが「不安や感謝の気持ちを伝えたくて」と部屋にそっと届けると、翌朝には自室に返事が届いていた。「すごくうれしくて、それから儀式のようになっていましたね」。高橋さんにとって、小出さんからの「強くなったな」「自分も一緒に走るよ」「気持ちだけは一緒」など応援してくれた言葉が何よりもうれしかった。

「最後は泣くな。笑って送れよ」と言われていた。「感謝すること、走る楽しさを伝えること。私も笑顔で前を向きます」と誓いを述べた。前日に小出さんからもらった手紙を読み返した高橋さん。棺(ひつぎ)には小出さんが受け取った手紙が納められていた。【松熊洋介】

◆主な参列者 有森裕子さん、鈴木博美さん、原裕美子さん、瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(順不同)