箱根駅伝で総合優勝12度を誇る古豪日大にケニア出身の「オールドルーキー」がいる。23歳のチャールズ・ドゥング(1年)だ。11日、都内での練習を公開し、古豪復活を誓った。

来日8年目のドゥングは流ちょうな日本語で「チームは優勝、個人は区間新を狙う。おじさんパワーを見せたい」と夢舞台へ気合を入れた。異色の経歴で札幌山の手高を経て、実業団の小森コーポレーションに入社。今春、「箱根の夢」を諦めきれず、日大へ入学した。実業団時代は月10~15万円を4年間、ケニアの実家へ仕送りし、約200万円でアパート(全30部屋)を建設した。現在は、月約8万円の賃貸収入で5人の家族を養えるようになり、今年8月にはケニア在住の女性と結婚した。「家族の生活が一番。身の回りが落ち着いたから、次は自分の夢へトライすることを決めた」と説明した。

中学校まではシマウマなどを横目に通学。山道を1日30キロ以上を歩いて、脚力を鍛え上げた。今季はエース区間の2区を走る予定だが、大きな野望がある。「山登りが得意なので、来年は(5区の)『山の神』になりたい。そのためにも(今季の)結果を残したい」。日大の“秘密兵器”の夢への挑戦が始まる。【峯岸佑樹】