3区(10・9)は新谷劇場だった。積水化学の新谷仁美(32)が33分20秒の区間新。従来の記録を1分10秒も塗り替えた。貫禄の走りでチームをトップに押し上げた。

先頭の日本郵政グループから10秒差の2番手でタスキを受けた。17年世界選手権5000メートルの前を行くのは鍋島莉奈。それなのに800メートルで追いついた。そして、じわじわ差を広げていった。5キロの通過は15分12秒。区間記録を40秒以上も上回る驚異的なペースで走り続けた。最後まで勢いは衰えなかった。日本郵政グループに55秒差を付け、タスキを渡した。鍋島も34分25秒の区間新だったことが、新谷の強さを際立たせた。

新谷は「たくさんの応援がすごくすごく伝わりました。生まれて初めて、優勝したいという気持ちで走れた。後半区間でも、その気持ちが伝わればいい」。2区の卜部蘭が日本郵政グループとの差を縮めていた。「よく頑張った。あとは任せろという気持ちでやりました」と振り返った。

12月4日にヤンマースタジアム長居で開催される日本選手権1万メートルで優勝すれば、東京オリンピック(五輪)の代表に内定する。

13年世界選手権1万メートルで5位。しかし、故障にも苦しみ、14年1月に電撃引退した。一時は体重が13キロも増えたというOL生活を経て、18月6月に復帰した。今は丸4年のブランクを感じさせない快走を続けている。

今年1月にハーフマラソンで1時間6分38秒の日本記録を樹立しただけでなく、9月には5000メートルで日本歴代2位の14分55秒83秒を出した。再び戻ってきた陸上界で、その活躍は止まるところを知らない。