東京五輪マラソン代表の鈴木亜由子(29)の快走で勢いづいた日本郵政グループが2年連続3度目の優勝を飾った。5区で起用された鈴木は2位でタスキを受け取り、55秒あった差を逆転。リードを29秒差に広げて最終走者につなげた。けがやコロナ禍で苦しい日々を強いられてきたが、東京五輪へ向けて再び力強さを取り戻した。五輪4大会出場の福士加代子(38=ワコール)にとっては、今回が最後の駅伝出場となった。

   ◇   ◇   ◇   ◇

積水化学の新谷仁美(32)が33分20秒の驚異的な区間新を樹立した。10・9キロの3区で、従来の記録を1分10秒も塗り替えた。

日本郵政グループの鍋島と10秒差の2番手で走りだした。17年世界選手権5000メートル代表との先頭争いを、簡単に終わらせた。800メートルで追いつき、2・5キロから差を広げる。55秒差を作り、先頭でタスキを渡した。鍋島も失速どころか、34分25秒の区間新。それが新谷の強さを際立たせた。

「たくさんの応援がすごくすごく伝わってきた。生まれて初めて優勝したいとの気持ちで走れた」。14年に1度引退し、今は新たな環境で走る喜びを感じている。チームは逆転を許したが、最優秀選手に輝いた。

コロナ禍では「アスリートの在り方」を考えた。「東京五輪というのは、国民の皆さんと一緒の気持ちになって初めて成立する。ただ走るだけの姿を見せるのではなく、結果以上のものを我々アスリートが見せなければならない」。結果を出し続けているから、もの申す姿にも説得力が宿る。今、1万メートルで東京五輪参加標準記録を突破する日本人は新谷だけ。12月4日の日本選手権(大阪)でVなら五輪代表に決まる。