男子マラソンの川内優輝(33=あいおいニッセイ同和損保)が“世界新記録”を更新した。20日、山口県内で行われた防府読売マラソンで、2時間10分26秒の2位に入った。通算107回目のフルマラソンは38キロ付近で丸山竜也(八千代工業)に振り切られたが、「今の力を出し切って負けたので、また強くなればという明るい気持ちになれた」と笑顔。人類初とみられているアンタッチャブルレコードを大台に乗せていた。

というのも、これで通算100度目の2時間20分切り。この日は中13日であるように、常識では考えられないペースでマラソンを走り続ける川内は、すでに「2時間20分以内における最多完走数」78回がギネス世界記録と認定されており、18年3月に公式認定証の贈呈を受けた。今回で節目となる100回目に乗ったことで、再びギネス記録の申請をする意向。公認は確実とみられ、自身のギネス世界新を更新することになる。18年1月には氷点下17度の超過酷条件下、2時間18分56秒でも走っている。

昨年4月に埼玉県庁を辞め、プロに転向した。大きな決断をした1年後。未知のウイルスにより、大会のゲストランナー、講演などの仕事は次々と消えた。それに負けずに、挑戦を続け、「閉塞(へいそく)感が漂うこのコロナの世界で、マラソンを通じて、明るい話題を発信できれば」との思いを秘めて走る。また新たな勲章を得て、独自の路線でマラソン界を活気づけていく。

◆サブ20 2時間20分以内でフルマラソンを走りきること。サブは英語で「以内」を意味する。マラソンでは4時間を切ることを「サブ4」、3時間以内を「サブ3」、2時間10分を切ることを「サブ10」との言葉を使う。