箱根駅伝で7度の総合優勝を誇る駒大の礎を築いた森本葵(もりもと・まもる)さんが2月28日、腹部動脈瘤(りゅう)破裂のため、81歳で死去した。選手時代から指導を受けた駒大の大八木弘明監督(62)は2日、「恩師だからね…。本当に残念です。(東京五輪マラソン代表の中村)匠吾が五輪を走る姿を見てもらいたかった」と惜しんだ。

95年から森本さんに請われて、コーチになった。就任当初にかけられた言葉は、今も印象に残っている。

「自分の信念を通したら、いいんじゃないか。自分が思っていることを本気でやってみろよ」

その後、低迷が続いていたチームの再建に成功。00年には箱根駅伝で初優勝した。森本さんと一緒に「平成の常勝軍団」を作り上げた。

平成後半に低迷の時代を迎えた時も、励まされた。「1度、上まで上げた人間なんだから、いくら低迷していても、必死で頑張れ」。胸に染みた。そして再び、駒大は輝きを取り戻した。ずっと「恩返しをしよう」との思いを胸に秘め、選手に向き合っていた。昨季は全日本大学駅伝、箱根駅伝と2冠を達成。「その2つの優勝を見せられてよかった」と話した。

森本さんが西ドイツに留学中の64年に樹立した800メートルの日本記録は93年まで破られなかった。64年の東京五輪の男子800メートルにも出場した。駒大が全日本大学駅伝で13度目の制覇を果たした、その11月1日の午後に体調を崩し、病院に運ばれたという。