混戦レースとなった全日本大学駅伝は、駒大が5時間12分58秒で2年連続14回目の優勝を果たした。7区(17・6キロ)では、エースの田沢廉(3年=青森・青森山田)が日本選手初の50分台をたたき出し、50分36秒の区間賞を獲得。4位からトップに再浮上すると、最後はアンカー花尾恭輔(2年=鎮西学院)が残り2キロからラストスパートをかけ、8秒差で2位青学大を振り切った。

出雲駅伝優勝の東京国際大は、5位でフィニッシュ。3区を走った注目ランナー、イェゴン・ヴィンセント(3年=ケニア・チェビルベレク)は6位でたすきを受けると、区間を32分46秒で走り抜く異次元のレースを披露。19年相沢晃(東洋大)が作った区間記録を15秒更新する圧巻のヴィンセント劇場を見せた。

第53回全日本大学駅伝 1位でゴールする駒沢大の花尾(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 1位でゴールする駒沢大の花尾(撮影・森本幸一)

区間詳細順位変動グラフ

◆シード権

(1)駒大 5:12:58

(2)青学大 +8

(3)順大 +1:22

(4)国学院大 +1:55

(5)東京国際大 +2:55

(6)早大 +3:31

(7)明大 +3:48

(8)中大 +4:08

※8位までシード権


◆レース経過


1区=9・5キロ(熱田神宮西門前~ファーストカーゴ前)

◆2キロ過ぎ 東北大の立野が先頭集団から遅れ始める。一方、第一工科大のアニーダが集団から一人飛び出す。

◆3キロ過ぎ 大阪経大の島野も集団から外れ、後れを取る。

◆5キロ過ぎ 皇学館大、岐阜共立大など4校、ハイペースについて行けず集団から引き離される。

◆7キロ過ぎ 有力校・東海大の喜早も集団からこぼれ始める、2位集団の中でも徐々に後れを取り始める大学も。

◆8キロ過ぎ 青学大・志貴が先頭に出る。中大・吉居、駒大・佐藤が後ろにぴったりとつける。

◆9キロ過ぎ 駒大・佐藤が先頭にでて仕掛ける。中大・吉居が追いかける。

◆第1中継所 駒大・佐藤が1位でたすきリレー

(1)駒大 27:05

(2)中大 +0

(3)國學院大 +1

(4)青学大 +5

(5)法大 +11

(OP)日本学連選抜 +12

(6)早大 +13

(7)第一工科大 +14

(8)明大 +16

※8位までシード権


2区=11・1キロ(ファーストカーゴ前~長島スポーツランド前)

◆5キロ過ぎ 中間地点を前に駒大・青柿が、先頭集団から後れを取り始める。

◆6キロ過ぎ 法大・鎌田がペースアップで先頭に。早大・井川らが後ろにつけるが、東洋大・前田が集団から引き離される。

◆8キロ過ぎ 早大・井川が先頭に立つ。順大・三浦と先頭を競り合う形に。青学大、駒大が先頭集団から離脱。

◆9キロ過ぎ 東京国際大・山谷が上位集団から遅れ始める。

◆10キロ過ぎ ラスト1キロ、東京五輪代表を経験した順大・三浦が一気に仕掛け単独で先頭へ。どんどん後方との差を広げる圧巻の走り。

(1)順大 58:55

(2)法大 +10

(3)早大 +11

(4)明大 +14

(5)国学院大 +15

(6)東京国際大 +21

(7)駒大 +45

(8)東洋大 +50

※8位までシード権


3区=11・9キロ(長島スポーツランド前~霞ケ浦緑地前)

◆2キロ過ぎ 6位でたすきを受けた東京国際大・ヴィンセントが早くも先頭へ。各校のエースが集う3区でさすがの快走を見せる。

◆2キロ過ぎ 11位でスタートした拓大・ジョセフ・ラジニが青学大・岸本を捉えて10位に浮上。前方との差を縮めていく。

◆6キロ過ぎ 拓大・ラジニがどんどん前方を捉えて7位に浮上。

◆7キロ過ぎ 東京国際大・ヴィンセントが驚異の走り。2位の順大、早大にこの時点で32秒差をつける。

◆8キロ過ぎ 拓大・ラジニが国学院大のエース中西を抜き6位に浮上。

◆第3中継所 東京国際大・ヴィンセントが独走、トップを守ってたすきリレー。32分46秒で区間記録を15秒に更新する圧巻の走り。

(1)東京国際大 1:32:02

(2)早大 +1:01

(3)順大 +1:02

(4)法大 +1:31

(5)拓大 +1:36

(6)明大 +1:38

(7)国学院大 +1:49

(8)青学大 +2:01

※8位までシード権


4区=11・8キ(霞ケ浦緑地前~ファミリーマート鈴鹿林崎町店前)

◆7キロ過ぎ 東洋大の注目ルーキー石田がシード圏内の8位に浮上する快走を見せる。解説の大迫傑氏も「レース運び上手い」と評価。

◆10キロ過ぎ 青学大・高橋が法大・松本を抜き5位に浮上。2位早大・菖蒲は苦しい表情、後ろから3位明大、4位順大が迫る。

◆第4中継所 東京国際大・堀畑、3区ヴィンセントが作ったリードを守り切って1位でたすきリレー。

(1)東京国際大 2:06:47

(2)早大 +37

(3)明大 +1:04

(4)順大 +1:14

(5)法大 +1:18

(6)青学大 +1:24

(7)国学院大 +1:31

(8)東洋大 +1:35

※8位までシード権

5区=12・4キロ(ファミリーマート鈴鹿林崎町店前~ザ・ビッグエクストラ津河芸店前)

◆4キロ過ぎ 東洋大・梅崎が同じ1年生の国学院大・沼井抜いて7位に浮上。

◆5キロ過ぎ 早大の1年生石塚が、1位東京国際大との差を縮めぐんぐん接近。

◆7キロ過ぎ 青学大・佐藤がじわじわ順位を上げて3位に浮上。

◆8キロ過ぎ 早大と1位を守っていた東京国際大の差がほぼなくなった。早大・石塚が東京国際大・生田捉えて先頭に躍り出る。石塚は出雲駅伝4区で区間賞を獲得した実力者。

◆9キロ過ぎ 中大・三浦が3人抜きでシード圏内の8位に、東洋大・梅崎が快走を続け5位に浮上。

◆11キロ過ぎ 青学大・佐藤が東京国際大、順大を抜いて2位に浮上。先頭早大との差もぐんぐん詰める。

◆第5中継所 早大・石塚が賢明な走りを見せ、1位でたすきリレー。前回王者の駒大は9位でたすきリレー。

(1)早大 2:43:49

(2)順大 +17

(3)青学大 +19

(4)東京国際大 +33

(5)東洋大 +58

(6)法大 +1:15

(7)明大 +1:19

(8)中大 +1:39

※8位までシード権


6区=12・8キロ(ザ・ビッグエクストラ津河芸店前~ベイスクエア津ラッツ)

◆3キロ過ぎ 順大、青学大、早大の三つ巴状態に、早大がやや遅れる。9位でたすきを受けた駒大・安原が中大・山口を抜き、シード圏内の8位に浮上。

◆4キロ過ぎ 東京国際大・丹所が早大・佐藤を抜いて3位に浮上、今一度1位の座を奪還へ。順大・牧瀬、青学大・若林と3人で先頭争いへ。

◆6キロ過ぎ 青学大・若林が先頭争いから後れを取り、2校に引き離される。

◆7キロ過ぎ 東京国際大・丹所が仕掛け、順大・牧瀬を引き離しにかかる。差を確実に広げていく。

◆8キロ過ぎ 7位でスタートした明大・鈴木が快走。早大・佐藤を捉えて4位に浮上する。

◆9キロ過ぎ 現地では小雨が降り始める。駒大・安原が9位から4人を抜いて5位に浮上する快走を見せる。

◆10キロ過ぎ 東洋大・菅野にアクシデント。足がつったか一端止まり、太ももを何度もたたく。再び走り始めるが苦しい表情を隠せない様子。

◆第6中継所 東京国際大・丹所が区間新の走りでトップでたすきをつなぐ。

(1)東京国際大 3:21:34

(2)順大 +19

(3)明大 +1:21

(4)駒大 +1:36

(5)青学大 +1:36

(6)法大 +1:36

(7)早大 +2:05

(8)国学院大 +2:24

※8位までシード権


7区=17・6キロ(ベイスクエア津ラッツ~JAみえなか前)

◆3キロ過ぎ 4位でたすきを受けた駒大・田澤が3位浮上、青学大・近藤がその後ろにピタリと付く。

◆6キロ過ぎ 駒大・田澤が併走状態から前に出て単独3位に。青学大・近藤を引き離す。6・6キロ付近での選手への声かけポイントでは、大八木弘明監督から「前とは37秒差! その前とは22秒!」と的確な檄が飛んだ。

◆10キロ過ぎ 駒大・田澤、1分20秒差があった順大を抜いて2位に浮上。東京国際大・野澤の背中にじわじわ迫る。

◆11キロ過ぎ 中大・中澤が法大・中園を抜いてシード圏内の8位に再浮上。

◆13キロ過ぎ 駒大・田澤が東京国際大・野澤を捉え、ついに先頭に立つ。2位との差を引き離しにかかる。

◆第7中継所 駒大・田澤がトップで中継所へ飛び込む。2位とは18秒差。東洋大は11位、東海大が10位、法大が9位で最終区へ。

(1)東京国際大 4:13:46

(2)青学大 +18

(3)東京国際大 +41

(4)明大 +1:37

(5)順大 +1:40

(6)早大 +2:25

(7)国学院大 +2:34

(8)中大 +3:50

※8位までシード権


8区=19・7キロ(JAみえなか前~伊勢神宮内宮宇治橋前)

◆5キロ過ぎ 青学大・飯田が駒大・花尾を追う。差は10秒ほどまで詰まる。

◆8キロ過ぎ 青学大・飯田が駒大・花尾に追いつく。飯田はやや後ろに付ける。

◆9キロ過ぎ 東洋大・宮下が9位へ浮上、熾烈なシード権争いへ力走を見せる。

◆15キロ過ぎ 順大・四釜が東京国際大・宗像をかわして3位へ浮上。

◆17キロ過ぎ 変化のなかった先頭争いに変化が。駒大・花尾が青学大・飯田との差を広げにかかる。ラスト2キロ地点から花尾が一気に大きなリードをつくり、飯田を引き離す。連覇へ意地のラストスパートをかけた。ここまで粘ってきた飯田だったが、苦しそうな表情を浮かべ、花尾との差をなかなか縮めることができない。

◆ゴール地点 駒沢大が5時間12分58秒で、2年連続14回目の優勝を果たす。アンカーの花尾は、大きなガッツポーズを作ってゴールテープに飛び込んだ。2位青学大は8秒差で涙を飲んだ。


◆写真

3区で力走する東京国際大のイエゴン。区間新記録を出した(代表撮影)
3区で力走する東京国際大のイエゴン。区間新記録を出した(代表撮影)
7区で東京国際大の野沢巧理(右奥)を抜き、先頭に立つ駒大の田沢廉(代表撮影)
7区で東京国際大の野沢巧理(右奥)を抜き、先頭に立つ駒大の田沢廉(代表撮影)
8区で青学大の飯田貴之(右)と競り合う駒大の花尾恭輔(代表撮影)
8区で青学大の飯田貴之(右)と競り合う駒大の花尾恭輔(代表撮影)
ゴール直前で青学大の飯田貴之(左奥)を振り切る駒大の花尾恭輔(代表撮影)
ゴール直前で青学大の飯田貴之(左奥)を振り切る駒大の花尾恭輔(代表撮影)
第53回全日本大学駅伝 ゴール前で勝利を確信しガッツポーズをする駒沢大・花尾(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 ゴール前で勝利を確信しガッツポーズをする駒沢大・花尾(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 2位でゴールする青山学院大・飯田(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 2位でゴールする青山学院大・飯田(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 3位でゴールした順天堂大・四釜(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 3位でゴールした順天堂大・四釜(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 6位でゴールする早稲田大・山口(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 6位でゴールする早稲田大・山口(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 8位でゴールする中央大・手島(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 8位でゴールする中央大・手島(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 7位でゴールする明治大・加藤(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 7位でゴールする明治大・加藤(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 9位でゴールする法政大・河田(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 9位でゴールする法政大・河田(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 10位でゴールする東洋大・宮下(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 10位でゴールする東洋大・宮下(撮影・森本幸一)

◆出場チーム

◆シード校

駒大、東海大、明大、青学大、早大、東洋大、帝京大、順大

◆各地区代表校

札幌学院大、東北大、東京国際大、国学院大、法大、拓大、中大、中央学院大、日体大、信州大、皇学館大、岐阜協立大、立命大、関学大、大阪経大、環太平洋大、第一工科大

◆オープン参加

日本学連選抜、東海学連選抜

◆区間エントリー&全選手成績一覧

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第53回全日本大学駅伝 スタートする各校第1走者(撮影・森本幸一)
第53回全日本大学駅伝 スタートする各校第1走者(撮影・森本幸一)