女子は学法石川(福島)が、1区から5区までトップを譲らない独走で、みちのく初優勝を飾った。1年生アンカーの田子明花莉が、ゴールを彩った虹に祝福されながら1時間11分44秒でフィニッシュ。男子は全国制覇を狙う仙台育英(宮城)が、3連覇で13度目の頂点に立った。2位でタスキを受けた2年生アンカーの後村光星が、残り1・2キロからラストスパート。2位学法石川に13秒先着し、2時間7分46秒でゴールテープを切った。両チームは12月26日に京都で開催される全国高校駅伝(都大路)に向けて弾みをつけた。

   ◇   ◇   ◇

仙台育英のアンカー後村は残り1・2キロ地点からスパート。力強いガッツポーズでゴールテープを切った。14分51秒、7区(5キロ)区間賞の力走で2位学法石川に13秒差をつけた。

「先頭でゴールすることができて良かった。チームの目標は優勝、個人では区間賞を掲げていた。自分の走りがしっかりできた」

この日が高校駅伝デビュー。だが、冷静沈着なレース運びで「アンカー対決」を制した。タスキを受けたのは首位と1秒差。残り1・2キロ地点で勝負をかけた。「相手がしんどそうにしていて『いける』と思った」。ペースを上げるとその差は一気に広がり、そこからは1人旅。真名子圭監督(43)は「理想的な展開だった。(後村が)早めに仕掛けていったのが、良かったと思います」と好判断をたたえた。

無名のランナーが成長曲線を着実に描いている。山田中(仙台)時代も駅伝の選手。だが、県大会出場すら遠い現実だった。卒業後は「強いチームに身を置き、自分の力を試してみようと思った」と、強い覚悟を胸に全国屈指の強豪の門をたたいた。1年時は度重なるけがに泣いた。満足な練習ができない時期もあったが、努力の成果は数字に表れる。3000メートルで8分33秒をマークし、中学時代から20秒更新。「自己ベストを継続的に更新できている」と自信を口にする。

レギュラー争いは激化している。今大会は県予選から出走メンバー7人中6人を入れ替えて東北3連覇を達成。層の厚さを示した。後村は現状は控え組。だが、虎視眈々(たんたん)と都大路メンバー入りを見据える。「チーム内の争いはまだ終わっていない。最後まで気持ちを切らさずしっかり走りたい」。全国デビューを目指し、ここから正念場を迎える。【佐藤究】