前回総合8位で今回はチーム最長となる5年連続のシード権獲得に挑む帝京大に、力強い味方が加わった。寝具、福祉用具の最大手、フランスベッド社がユニホームスポンサーとなり、出雲、全日本に続き、箱根路を走る選手を支える。同社にとって「ロゴマークを出すスポーツのスポンサーは初めて」(広報部)だという。宣伝効果も重要だが「選手の安眠や健康に寄与すること」で、睡眠と競技力向上の関係など医科学的見地からの研究をともに行うことを重要視している。

同社は全部員にマットレスを提供し、睡眠効果のアンケートなどを実施し、データを収集。フィードバックする形で疲労回復への質を高めている。部員の1人は「睡眠の質が変わって、パフォーマンス向上につながっている」と早くも効果を実感している。

帝京大はスポーツ医科学センターや病院施設を持つ。その関係から同社と縁があり、本年度から契約につながった。中野孝行監督も「私自身も寝汗をかかなくなった。果報は寝て待てです」とほくほくだ。

箱根駅伝は前回大会からユニホームにスポンサーのロゴを入れることが許可された。19年に世界陸連が広告規定を改定し、日本陸連も採用。40平方センチで、高さ5センチ以内のロゴを、シャツとパンツに各1カ所、入れることが可能となった。

明大は「サトウのごはん」や「サトウの切り餅」で有名なサトウ食品がスポンサーだ。炭水化物の摂取に同社の切り餅を食していたことから契約となった。ただし民間企業だけではない。青学大は04年から合宿を行っている新潟県妙高市がスポンサーとなっている。前回大会は参加21チーム中、13チームがユニホームにロゴマークをつけた。

部活を運営するには用具、合宿、遠征などの費用が莫大(ばくだい)にかかる。負担を軽減するためにもスポンサーの存在は大きい。企業や自治体にとっても長時間の露出でPR効果は抜群。広告費に換算すると十数億円ともいわれ、部活とスポンサーの利害が一致する関係にある。【吉松忠弘】

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