8日に国立競技場で「セイコーゴールデングランプリ(GGP)陸上2022東京」(日刊スポーツ新聞社共催)が行われ、国内外のトップアスリートが集結する。連載「国立から世界へ」では、注目選手を紹介する。第3回は女子1500メートルで東京オリンピック(五輪)8位入賞の田中希実(22=豊田自動織機)。4月から新社会人となり、今季も400メートルから1万メートルまで幅広い種目に挑戦。GGPは、GW後に予定している米国遠征の試金石にする。

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田中が東京五輪以来、9カ月ぶりに国立を駆ける。「国立にはいい印象がある。そこで景気づけができればいい」。日本記録を持つ1500メートルに登場。大会後に予定している米国遠征に弾みをつける。

4月1日付から豊田自動織機に入社して、新たなスタートを切った。シーズンインから週2度ほどの頻度でレースに出場。800メートルから1万メートル、ときにはスターティングブロックを使う400メートルにも参戦した。実戦こそが最大の“練習”。「スプリントとスタミナの部分を高めたい。レースを練習に使うというと聞こえが良くないし、荒療治のような感じになるけど、バンバンレースで刺激を入れないと甘えが出てくる」。海外での転戦を見据えて、当日移動も辞さない。スケジュールが許す限り、レースを詰め込んだ。

4月29日に行われた織田記念(広島)後には、連戦の疲労からか右太ももに違和感が生じた。次戦の木南記念(大阪)は欠場。「そこで無理して爆発させたらいけない。変なところでチャレンジはやめておく」。体の状態に耳を傾ける。

飛躍を遂げた昨季を境に、徐々に意識も変わっているという。4月1日の入社会見では「自分が挑戦者でいることがかなり難しくなってきている」と吐露。「ここからしっかりとした世界での地位を築く上での正念場。変なおごりに負けないように、ワクワク感をしっかり持って走れればいい」。世界選手権(7月、米オレゴン州)が控える今季。新境地を迎える1年にしたい。【佐藤礼征】(おわり)

◆田中希実(たなか・のぞみ)1999年(平11)9月4日、兵庫・小野市生まれ。小野南中3年時に全国中学校大会1500メートルで優勝。西脇工高を卒業後、同大1年だった18年U-20(20歳未満)世界選手権で3000メートル優勝。19年世界選手権5000メートル14位。東京五輪では1500メートルで8位入賞、5000メートルは予選敗退。22年4月から豊田自動織機に入社。趣味は読書。153センチ。

<大会ガイド>

◆日時 8日(日)午後1時10分競技開始

◆会場 国立競技場

◆放送・配信 地上波TBS系列で午後3時から生中継。Paraviで午後1時35分頃から福島千里選手引退セレモニーまでLIVE配信。番組HPでフィールド種目、優勝インタビューをLIVE配信

◆大会HP http://goldengrandprix-japan.com