東京オリンピック(五輪)1600メートル金メダリストのマイケル・ノーマン(24=米国)が44秒62で優勝した。

開始から飛ばして独走したが、今季初の屋外となる本レースで「44秒以内」を目指していただけに、フィニッシュでタイムを見た瞬間に悔しがった。

「コメントが難しいよ。満足していないし、フラストレーションがたまる」

納得できなかった理由については「レースのリズムを取り戻せていない。フィジカルは問題ないけど、技術的に正しく走るのは同じパターンのリズムを刻んで走る必要がある。やるべきことを果たせなかった」と高いレベルで省みた。

東京五輪では400メートルも優勝候補だったが、5位でメダルに届かなかった。

一方で19年の大阪開催以来2度目の日本には笑顔を見せた。母親は日本人。伸江さん(旧姓斉藤)は静岡・入野中時代の89年に100メートルで日本一になったことがある健脚だ。

「また日本に来ることを楽しみにしていた。素晴らしい雰囲気の中で戦えた」

東京五輪は無観客で、この日は国立にファンが詰めかけた。前日7日の会見では「東京五輪で足りなかったのは観客」と話していただけに、どよめきと拍手の中を気分良く走り切った。

自国での世界選手権(7月、米オレゴン州)へ「金メダルを頭に入れている。ここまではベストの状態で臨めていないけど、世界選手権ではしっかり金を狙っていきたい」と、ルーツのある日本に来て最後は意欲を高めていた。【木下淳】