男子100メートルは関口裕太(東京学館新潟3年)が向かい風2・1メートルの悪コンディションの中、10秒62をマークし初優勝した。33年前(89年)の大会記録10秒60にわずか0秒02届かなかった。7日には新潟県高校記録を26年ぶりに塗り替える10秒37をマーク。乗っているスプリンターは記録更新に意欲的だった。

2・1メートルの向かい風を関口の走りが切り裂く。スタートは出遅れたがレースを冷静に立て直した。中盤からグイグイと加速。「集中していて、風は感じなかった」とスピードに乗った。強い向かい風の中で、89年の大会記録に0秒02に迫る10秒62をマーク。「大会新記録は出せなかったけれど、自分の走りができた」と満足そうに言った。

田村和弘監督(43)は「向かい風1メートルに対して、タイムは0秒1遅れると言われている。無風だったら10・42くらい出せていた」と悪コンディションの中で快走した愛弟子をほめた。7日の高校春季新潟・下越・佐渡地区大会で関口は県高校新記録の10秒37をマーク。同校OBの田村監督が96年に作った10秒42を26年ぶりに塗り替えていた。田村監督は「メンタルが強い。勝負ごとは外さない」と内面の強さも買っていた。

6月7日開幕のU20日本選手権にエントリー。「そこで10秒37を切る」と自身の県高校記録を更新する決意で臨む。昨年は両膝の故障で予選となる県高校総体を出場辞退。インターハイも最初で最後になるだけに出場にかける思いは強い。「やっとスタートラインに立てた」と話した関口は「自信を持って高校陸上競技界を引っ張っていきたい」と力強かった。【涌井幹雄】