陸上の男子800メートルは鷲尾遥人(村上3年)が1分54秒66で初優勝した。大会初出場での快挙。昨秋に1500メートルから800メートルに競技転向したばかりだったが、自己ベスト(1分57秒03)を2秒以上縮める快走を見せた。女子200メートルは中倉茉咲(東京学館新潟2年)が25秒02で優勝。同400メートルと合わせて2冠を獲得した。

なだれ込むように鷲尾はフィニッシュに飛び込んだ。じっと我慢しながら3位で追走していたが、最後の直線で猛スパート。ライバルたちとデッドヒートを繰り広げ、2位とは0秒09差で勝った。「限界を超えていた」とスタミナをすべて使い果たしてゴールしながらも、スタンドに右腕を突き立て喜びを表現した。

昨年は右脛(すね)の疲労骨折で出場を断念。男子800メートルは初出場初優勝だった。しかも800メートルの転向は昨年秋。1500メートル専門だったが「スピードを生かせる。こっちがいい」と種目変更した。初レースになった昨年11月の記録会は1分59秒台。2分を切るタイムに手応えをつかみ、冬の練習に拍車がかかった。校舎4階まで階段ダッシュするなど練習で追い込み、「インターハイ出場」と先の“ゴール”も見据えていた。

鷲尾が陸上を本格的に始めたのは高校から。神林中ではバスケット部でPGだったが、中学駅伝のメンバーに駆り出されて陸上に目覚めたという。キャリアは浅いだけに伸びしろも大きい。この日の決勝では自己記録を2秒37も短縮した。「今までやってきたことを考えれば、これくらいは出来る」。鷲尾は強い自信を胸にインターハイ初出場に挑戦する。【涌井幹雄】

○…女子200メートルを制した中倉は27日の400メートルと合わせて2冠を獲得した。しかし喜びと悔しさは半々だった。「200メートルは24秒台の大会新記録を狙っていた」と言った。マークした25秒02は89年に樹立された24秒71に0秒31だけ届かなかった。「200メートルの後半はフォームをキープして、スピードを落とさなかった」と200メートルのレース後半には手応えを感じていた。