複数種目での世界選手権(7月、米オレゴン州)出場を狙う田中希実(22=豊田自動織機)が予選3組で1着となり、明日12日の決勝へ駒を進めた。

「ランキングでもう少し上位にいきたくて、予選から攻めた走りをしました」。参加標準記録を切った上で優勝で内定を決めた前日10日の1500メートルと違い、800メートルはまだ参加標準を切っていない。世界ランクでの選出を念頭に、タイムを求めた。

「結果、中途半端でした」。2分4秒13の結果に表情は浮かない。最後方から1周の終わりを待たずに、前の集団を一気にまくり、400メートルを切ってからもぐんぐんと後続を引き離した。他の選手と異なる目標を持って、集中して自分だけの走りを徹底したはずが、レース中に「ちょっと浮いているな」と感じた。他者を気にしてしまう自分に、「気持ち的に中途半端だった」と反省した。

12日には800メートルの決勝と、5000メートルが控える。レースの間は75分だが、「できる限り走りたい。そうじゃないと不完全燃焼の今日の走りが意味ないものになってしまうので」。

昨夏の東京オリンピック(五輪)の1500メートルで、日本人初の8位入賞を果たした規格外のランナー。他種目への挑戦という既存の枠にはまらない選択は、孤高の戦いでもある。