女子1000メートルで田中希実(22=豊田自動織機)が、2分37秒33の日本新記録を樹立した。自身の記録(2分37秒72)を0秒39更新した。1500メートルと5000メートルの2種目で代表に内定している世界選手権(7月15日開幕、米オレゴン州)へ向け、順調な調整ぶりを見せた。

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田中が自分を超えた。ペースメーカーがついたレースで、最初の400メートルを1分0秒70で入ると、600メートルからの残り1周で一気にギアを上げた。全力疾走でゴールテープを切った。タイムは2分37秒33。自ら持つ日本記録を更新した。

表彰セレモニーでは日本記録更新に伴う「ふかがわ牛1頭」に始まり、名産の米、メロン、バターやチーズの乳製品などの戦利品を手にした。安堵(あんど)の表情を浮かべたが、満足感に浸ることはなかった。

マイクを向けられると「記録は狙っていかないといけないとは思っていた。最低限、日本記録の自己ベストは出せたけど、世界陸上で1500メートルに出るにあたってはまだ不十分かな」。そして「いかにペースを落とさずに走りきれるかというところだったんですけど、ラップが落ちてしまった」と反省を忘れなかった。

レースから約1時間後には1500メートルのペースメーカーも務めた。力強い走りで元気いっぱい。世界選手権に向けて「70%くらいまでは来ているかな」と、調整は順調に進んでいる。

東京オリンピックの1500メートルで8位入賞。それでも「運よく決勝に残れた部分があった。運良くじゃなくても実力として、いつでも決勝に残れる力を示していけたら」。どこまでも貪欲に、さらなるレベルアップを誓った。【山崎純一】