【ユージン(米オレゴン州)=佐藤礼征】世界陸連は14日(日本時間15日)、米オレゴン州で理事会を開き、2025年世界選手権の開催地を東京に決めた。東京・国立競技場での実施を目指す。日本での開催は91年東京大会、07年大阪大会に次いで3度目。運営能力や施設など、昨夏行われた東京五輪のレガシーを活用することが期待される。世界陸連は開催時期を8月末で希望しているが、日本陸連は暑熱を考慮して9月中旬を掲示している。

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国立競技場に、世界各国のアスリートが戻ってくる。日本陸連の尾県貢会長(63)は、期待で胸を膨らませた。「去年(五輪)はシーンとした中で寂しさを感じた。あの大きな国立競技場に、満員の観客が入って競技ができるのは素晴らしいこと」。東京五輪は無観客開催。210カ国から約2000人という選手の活躍を、今度こそ生で届けられるかもしれない。

立候補地は計4つで、シンガポールやナイロビ、シレジア(ポーランド)と争った。東京五輪の開催実績などが評価された。世界陸連のセバスチャン・コー会長は「シンガポールとの競争になったが(東京都は)競技場や施設、強力な市場基盤も持っていた」と理由を挙げた。

開催時期については、現時点で8月末を希望する世界陸連側と相違がある。日本陸連は暑さを考慮して9月中旬を希望。東京五輪ではマラソン、競歩の開催地を北海道に移転して対応した。課題は他競技との日程調整という。尾県会長は「9月になればかなり気温は下がる。選手たちの安全な環境が大事。8月でも対応できることは示したいが、両者が納得できる時期を考えていきたい」と話した。

3度目の開催は国別では最多となる。昨夏の東京五輪から始まり22年オレゴン大会、23年ブダペスト大会と続く世界選手権、24年パリ五輪、そして25年東京大会とビッグイベントが続く陸上界。尾県会長は「陸上のみならず、スポーツ開催地としての東京の優位性をアピールしたい。毎年(大きな)大会が行われるのは、選手にとってもいい目標になる」と強調する。25年は日本陸連にとって創設100周年。東京五輪のレガシー継承などが焦点になる。

◆過去の日本での世界選手権 91年東京大会は男女合わせて選手29人が出場。男子やり投げで溝口が入賞を果たした。男子100メートルでルイスが9秒86の世界新記録(当時)で優勝するなど沸かせた。07年大阪大会では男女81人が出場。女子マラソンで土佐が日本勢唯一のメダル(銅)を獲得して話題を集めた。今回のオレゴン大会は、男女通じて68人が代表に選出された。