陸上界にホープが現れた。佐久長聖(長野)のエース吉岡大翔(3年)が、3区で日本人歴代最高の22分51秒。

昨年の洛南・佐藤圭汰(駒大)の記録を19秒も更新した。吉岡の走りで、チームは留学生を含まない高校最高記録となる2時間1分57秒で2位となった。3区サムエル・キバティが区間新の22分30秒を出した倉敷(岡山)が、大会新の2時間1分10秒で4年ぶり3度目の優勝。女子は長野東(長野)が1時間7分37秒で初優勝を果たした。

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吉岡は、悔し涙を浮かべた。「満足感は全くない」。チームは留学生を含まない高校最高記録、自身も駒大のスーパールーキー佐藤が昨年出した3区の記録を19秒更新した。だが5000メートル高校記録を持つ18歳は喜ぶことはできなかった。

3区で倉敷・キバティと激突した。たすきを受け取った時点ではトップ西脇工と11秒差の2位。スタート早々にトップに立った。破格スピードを誇るケニア出身留学生に逆転されてからも、粘りに粘って、15秒差の2位で4区につないだ。

日本人歴代最高の走り。それでも、吉岡の表情は浮かない。長い沈黙の後に「後半につめたかったけど、いけなかった。留学生との差を痛感した」とした。

この経験を次につなげる。「この大会は最後ですけど、今後の陸上人生を考えたら数ある大会の1つ。これからまた頑張ります」。卒業後は、昨夏の東京五輪代表の三浦隆司らがいる順大に進学する。「世界で戦いたい」。日本人最高を出しても、満足はできない。マラソン前日本記録保持者の大迫傑を生んだ強豪・佐久長聖からまた1人飛び出したホープ。世界を見据えて奮起する18歳がさらに大きくなる。【竹本穂乃加】

◆吉岡大翔(よしおか・ひろと)2004年(平16)5月18日、長野県生まれ。今年8月のU20世界選手権に日本代表として出場。5000メートルで7位に入賞した。11月には同種目で従来の高校記録(13分31秒19、佐藤圭汰)を8秒20短縮する13分22秒99をマークした。167センチ、52キロ。

◆男子区間1位記録

▽1区(10キロ)長嶋幸宝(西脇工)29分11秒

▽2区(3キロ)服部哩旺(小林)8分7秒

▽3区(8・1075キロ)サムエル・キバティ(倉敷)22分30秒=区間新

▽4区(8・0875キロ)桑田駿介(倉敷)22分48秒

▽5区(3キロ)松井海斗(埼玉栄)8分39秒

▽6区(5キロ)高橋康之介(学法石川)14分37秒

▽7区(5キロ)田中愛睦(八千代松陰)14分13秒

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