駒大が激戦を制し、5時間23分10秒で、04年以来19年ぶり4回目の往路優勝を果たした。

絶対エースの田沢廉(4年)が昨年12月上旬に新型コロナウイルスに感染。エースが万全のコンディションでなくても、全員が田沢に頼らない走りで勝ちきった。30秒差の2位に中大。連覇を目指す青学大は2分3秒差の3位。出雲、全日本と制した駒大が、史上5校目の同一年度3冠へ前進した。

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山登りの5区に抜てきされたルーキー山川拓馬(1年)は、ゴール直前で右手人さし指を突き上げて1番をアピールした。箱根初出場で区間4位の好走。大八木監督は「選手たちがしっかり自分の役目を守り、目標タイムを含め、しっかり走ってくれたからこそ優勝できた。最後まで粘るレースをしてくれた」。区間賞獲得はゼロ。全員で地道にタスキをつないだ。

絶対エースの田沢が昨年12月にコロナ感染。大事な時期に1週間練習できなかった。それでも同監督はエースを2区に投入した。「本当はやってもらいたい選手もいたが、『うん』という返事をしてもらえなかった」。そうこぼすほど2区はエース級がしのぎを削る重要区間。「田沢でいくしかないと。負担をかけた。彼がまとめてくれたので、往路優勝できた気がしないでもない」。田沢は万全の体調でなかったが、それでも区間3位の好記録。2位のままタスキをつないだ。

チーム目標は年度3冠。「田沢さんに頼らない」。1人1人の意識の強さが、チームをさらに強くした。田沢のコロナ感染後、後輩もその思いを強くした。4区の鈴木芽吹(3年)は「田沢さんに支えてもらう部分が大きく、強い気持ちを持つことができた」。5区の山川も「田沢さんに頼る駅伝が多かったが、頼らないように、カバーできるように」とさらに奮起した。4区の鈴木が1秒差で青学大をかわしてトップに立ち。5区の山川が逃げ切った。「3区まで我慢して、4、5区で何とかしてくれる」。監督の采配がズバリ的中した。

前回は総合3位。大八木監督は「故障者も多かった。結局は選手層が薄くなった」と反省した。学生3大駅伝で最も距離の長い箱根を念頭に、夏合宿では走り込みを中心にスタミナを強化。区間賞獲得者ゼロでも、結果を出した要因を「練習をしっかりやって自信をつけている。練習はうそをつかなかったということ。駅伝に結果が出てきている」と分析した。

復路に向けて「しっかり戦わないと。攻めるレースをしていかないといけない」と意気込んだ。スーパールーキー佐藤圭汰を往路で温存するほどの選手層の厚さが武器。3冠へ、焦りは見られない。【近藤由美子】

○…区間賞獲得者ゼロでの往路優勝は、21年創価大、22年青学大に続く3年連続となった。21年の創価大は復路5位で総合2位。22年の青学大は復路で7区岸本が区間賞、9区中村と10区中倉が区間新の快走を見せ、大会新記録で総合Vを果たしている。