今月5日の東京マラソンで日本人女子トップでゴールした松田瑞生(27=ダイハツ)が、8月の世界選手権(ブダペスト)への出場を決意した理由を明かした。

29日、都内で開催されたジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズ2(21年11月~23年3月)表彰式に出席。シリーズで1位に輝き、「(シリーズ1では)2位だった。今回は優勝できて、素直にうれしく思います」と笑顔を見せた。

松田は27日に今夏の世界選手権代表に選出されたばかり。中1カ月半で、10月15日のパリ五輪代表選考会「MGC」の出場も目指すつもりだ。「最初は(ダイハツの山中監督などと相談し)世界選手権は出ずに、MGC一本という話になった」というが、松田自身には確固たる思いがあった。

「世界選手権は賞金が懸かっていて、アフリカ勢がけん制し合わない。その状況で世界のトップと戦うことは、大きな経験になると思う。その後のレースを考えるよりも、近くにあるレースで結果を残したい。世界選手権で勝負をしたいと思いました」

はっきりとした口調で言い切ると、もう1つの理由も明かした。

「もう少しで引退するので挑戦する姿を見せたい。最後まで挑戦して、後悔なく競技人生を終えたい」

今年5月には28歳を迎える。「引退」の二文字を口にした理由を問われると、「年齢的に3人子どもを産みたいので、年齢的にはもうすぐ終わりかなぁ」と打ち明けた。

すかさず日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーが「大丈夫だよ。40(歳)までいこう」と説得するも「却下!」と笑顔で拒否した。

自分のペースを貫く松田は、世界選手権と五輪切符獲得の二兎(にと)を追いかける。

「(MGCで)優勝して、五輪の出場権も獲得できたら最高だと思います」

強い決意を胸に、最後まで力を振り絞る。