4人は笑顔でレースをかみしめた。

女子1マイル(約1・6キロ)は、21年東京オリンピック(五輪)代表の田中希実(23=ニューバランス)が2周目以降で飛び出し、日本新記録となる4分32秒73で優勝した。

高校生3人も出走し、下森美咲(北九州市立高)が2着、岡崎芽依(岡山操山高)が3着、松本未空(鈴鹿高)が4着となった。

レース直後。高校生3人がタオルで汗を拭いながら「すごい!」「はやい!」と感想を話していると、そこへ田中も加わった。4人で談笑に花を咲かせる。ほどなくして、田中は高校生からの求めに応じ、ユニホームにサインを書き始めた。和やかな時間が流れていた。

粋な計らいを受けた後輩たちは、この試合から何かを吸収しようと懸命だ。下森は「急に前へ行ってしまってすごかったです。自分がどこまでつけるのか勉強になりました」と冷静に受け止めた。岡崎も「自分よりはやい人ばかりで、とりあえず着いて行こうと必死で」と明かし、「1500メートルでは2、3周目で落ちてしまうので、後半でも腕を動かしていきたいです」と次を見据えている。

その姿は田中にも伝わっている。明るい表情で、3人へ感謝の思いを口にした。

「高校生の子たちが一緒に走ることを楽しみにしてくれていることが、私にとってもプラスになりました」

オリンピアンと、その背中を追う高校生たちが過ごした時間。それは1人1人のこれからにつながっていく。