男子1500メートルで仙台育英の1年生トリオが、鮮烈デビューを飾った。

3000メートルで日本中学歴代2位のタイムを持つ菅野元太が、3分54秒42で優勝。台湾出身で1500メートル、5000メートルの台湾中学記録保持者の簡子傑(かん・しけつ)が、3分54秒61で2位に入った。青島大陸(りく)は3分55秒43で4位。3選手は全国高校総体(インターハイ)切符がかかる東北高校陸上(6月15~18日、山形)出場を決めた。

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仙台育英のスーパールーキー菅野が、苦悶の表情を浮かべながらも世代トップの実力を証明した。簡、青島とともに1周ごとにレースを引っ張り合い、残り300メートル付近でギアを1段上げる。最後の直線は激しいスパート合戦となったが、力を振り絞り3分54秒42で先着。「中学では競り負けるイメージがありましたが、練習の成果が出た感じです」。簡は0秒19遅れで続きワンツーフィニッシュ。青島は4位に入った。

菅野が本格的に陸上を始めたのは1年前だ。山形十中では2年時まで野球部に所属しながら駅伝大会に出場。野球への思いも当然強かった。それでも「走る楽しさや成長していくのを感じ、自分に合っていると思い、陸上1本でやっていこう」と3年時から陸上部に転部。めきめきと頭角を現し、3000メートルで日本中学歴代2位の好記録を持つ世代トップランナーとなった。高校進学から約2カ月。「山形から宮城に来て、楽しく陸上をやれています」と充実の日々を過ごす。

台湾出身の簡は陸上留学で仙台育英にやってきた。1500メートルと5000メートルで同地の中学記録保持者だが「台湾は日本よりも陸上の成績が良くないので、レベルアップに貢献したい」と昨年末に来日。今大会は菅野に及ばず、2位となったが「コンディションがあまり良くない中で菅野、青島と一緒に諦めずに走れました」。仲間との会話を楽しむほど日本語も上達。憧れはマラソンで東京五輪6位入賞の大迫傑(31)だ。日本で競技力向上に励み、「台湾の大迫」を目指す。

表彰台独占は逃したが、3選手がレベルの高さを見せつけた。「チーム内の同世代で同じぐらいの力を持つ選手がいるのはすごい恵まれていて、自分の中でもかなり大きい存在です」と菅野。仙台育英のルーキーたちが、東北高校陸上でも大暴れする。【山田愛斗】