学法石川・増子風希(3年)が、男子800メートルで1分52秒04の大会新記録をマークし優勝。94年に打ち立てられた1分52秒14を0・1秒上回る快走で、29年ぶりに大会記録を塗り替えた。男子400メートル障害では、磐城桜が丘・中山翔太(3年)が、自己ベストを0・7秒更新する53秒68をマークし優勝。予選、準決勝から1位を譲らず、決勝でも2位に1秒近い差をつけてゴールした。

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最初の400メートルはスローペースだった。「(24日に出場し2位となった)1500メートルの疲労もあった。後ろから、余力を残しつつラストで勝つという形でやりました」。後方からチャンスを伺い、外側からじわじわと前に出る。残り400メートル、3番手につけていた増子はラスト1周の鐘を合図にギアを上げた。「ラスト300メートルから先頭に立とうと思っていた」。プラン通りのレースメークで先頭に立った増子は「後ろとの差を広げよう」とラスト200メートル、100メートルでさらにスパート。3段階でギアを上げ、後続を突き放しにかかった。最後の直線に入ってもそのスピードは衰えず、残り50メートルを切ったところで勝利を確信。「スクリーンを見つつ、差があったので『勝ったな』と」。そのまま、トップで駆け抜けた。

ゴール後、掲示板に速報タイムが映し出されると、力強くガッツポーズ。29年ぶりの大会新記録に「更新できて、すごくうれしいです」と満足げに語った。男子1500メートルではいわき秀英・植村真登(まなと、3年)に0・43差で敗れ2位。「位置取りが悪く、ラストに生かせなかった」と悔やんだが、800メートルでは位置取りもラストスパートも完璧。悔しさを払拭する勝利だった。

東北大会に向け、増子は「もっと爆発的なスピードで、相手を引き離せるような練習をしていきたい」。強みのスパートに磨きをかけ、今年の目標に掲げる「インターハイ優勝」と「県記録更新」の実現へ、さらにギアを上げていく。【濱本神威】

○…400メートル障害の中山翔太は大会1カ月前に左足の太もも裏の肉離れを起こした。それが治ってすぐに今度は右ひざの靱帯(じんたい)が炎症。練習ができない中、ぶっつけ本番で臨んだ今大会で自己ベストをマークした。「いつもは歩数を決めて走っているが、今回は歩数を縛らず、両足を使って臨機応変に跳びました」。練習不足の影響もあり、歩数を決めて跳ぶことは難しいと判断。利き足にこだわらず、自分の感覚に任せた。中山は「練習不足で不安だった。でも、1位を取って自己ベストが出せた。自分の中では合格点」と胸を張った。