陸上女子中距離の田中希実(23=ニューバランス)が、ケニアで鍛えた精神力で世界舞台に立つ。

1日、長野・茅野市で練習を公開。1500メートルと5000メートルの2種目での代表入りが確実な世界選手権(19~27日、ブダペスト)へ、決勝進出を目標に掲げ、「予選から全力でいくしかない。決勝に残れば『伸び伸びと戦うぞ』という気持ちで挑めると思う」と意気込んだ。

昨夏の世界選手権では800メートルを合わせた3種目に出場も、決勝進出は5000メートルのみ。4月にプロ転向した今年は、日本選手権後の6月に約2週間のケニア合宿を敢行した。「父(健智コーチ)の作ったメニューではなく、向こうのメニューをどうしたら全部こなせるか」をテーマに据え、マラソン選手やロードランナー向けのスタミナ系のメニューに食らいついた。

異国の地で過ごした日々は心を強くした。その実感が言葉の節々にこもる。

「精神面が鍛えられるような、淡々とこなしていくメニューが多かった。どうしたら世界陸上の決勝の舞台で最後までつけるのか、より臨場感を増して体で覚えることができた」

昨季の練習では苦しさが先行していた時もあったが、今は「自分のペースを信じられる練習、自分の力を確かめられる練習」が積めている。

決勝進出を目指す世界選手権。その先には、開幕まで1年を切ったパリオリンピック(五輪)も待っている。鋭い眼差しで言い切った。

「(世界選手権での)経験を生かして、入賞やメダル圏内をパリ五輪では狙っていきたい」

鍛え上げた心を自信の源とし、ブダペストのスタートラインに立つ。