陸上男子走り高跳びの長谷川直人(26=新潟アルビレックスRC)が、世界選手権(19~27日=ハンガリー・ブダペスト)に初出場する。同クラブからの出場は、13年モスクワ大会に出場した女子400メートル障害の久保倉里美(41=現ヘッドコーチ)以来、10年ぶり2人目。初の“世界”を、24年パリ五輪の助走にする。

長谷川は期待に心臓の鼓動を高鳴らせながらも複雑な心境を抱えていた。「ドキドキと不安。不思議な感情です」。未知の“世界”へ、2つの気持ちが交錯する。日本人選手としても小粒な身長178センチのハイジャンパーが初めて世界に挑戦する。「世界のスタートラインにやっと立てた。チャレンジャーとして参加する」と新たな感情も沸かせていた。

6月の日本選手権(大阪)で2位(2メートル25)に入り、アジア選手権(7月12~16日=タイ・バンコク)の日本代表に選出された。アジアで4位入賞(2メートル23)して帰国すると、成田空港からそのままフィンランドに飛んだ。世界ランキングに反映されるモトネットGPに出場して2位(2メートル21)。世界ランク25位(出場枠36位以内)で出場資格を満たした。「(2メートル)20センチオーバーの高い水準で安定している」と好調を自覚している。

新潟医療福祉大時代から現在まで、コーチ不在の環境に身を置いて競技に励んできた。走り高跳びに関する論文、文献を読破して、自分に合うものを取り入れてきた。大学4年の18年にインカレ優勝(2メートル18)。19年には91年の県記録2メートル24を28年ぶりに塗り替える2メートル25をマークした。21年には自身の県記録を1センチ更新。世界選手権の目標は身長より50センチ高い2メートル28に置く。

「自分がどのくらいの高さまで跳べるのか。自分の人生を懸けて確かめている。世界選手権の目標は決勝進出、そして入賞」。世界に羽ばたく長谷川は、もちろん24年パリ五輪も見据える。予選は20日、決勝は22日に行われる。【涌井幹雄】

◆長谷川直人(はせがわ・なおと)1996年(平8)11月15日生まれ、新潟市出身。新発田中央高-新潟医療福祉大。葛塚中1年で陸上を始める。走り幅跳びから中3で走り高跳びに転向。最初の記録は1メートル45。自己ベストは県記録2メートル26。178センチ、68キロ、血液型B。