21年から日本選手権2連覇した黒川和樹(22=法大)が男子400メートル障害準決勝に臨み、パリ五輪の参加標準記録(48秒70)を突破した。自己ベストの48秒58をマーク。来年6月の日本選手権で上位に入る必要があるが、東京五輪に続く2大会連続の五輪へ前進した。

2組4着となり、05年大会で銅メダルを獲得した為末大以来の決勝進出は逃したが、「パリを最終目標と置いてできれば」とすがすがしい表情を浮かべた。

選手紹介ではトレードマークのメガネ姿に微笑を浮かべ、観客席に手を挙げてアピール。前半は連覇を狙うドスサントス(ブラジル)に並ぶペースで飛ばし、後半でも粘りをみせた。

今季は調子が上がらず、6月の日本選手権は予選敗退。「3連覇したい気持ちが強すぎた」と重圧を抱えていた。

日本選手権後は思い切って肉体強化。体重は66キロから5キロもアップ。「自分らしくテキトーな感じでしていたら気持ちが楽になった」。走る楽しさがよみがえってきた。

「気にしすぎていた部分がなくなって、めっちゃ楽しいです。吹っ切れたっす」

黒川らしいゆったりとした口調で、目を細めた。ブダペストでの経験を、パリへの糧としていく。【藤塚大輔】