男子35キロ競歩決勝で前回銀の川野将虎(24=旭化成)が銅メダルを獲得し、2大会連続の表彰台に輝いた。2時間25分12秒だった。1秒差で金メダルを逃した昨夏のオレゴン大会の雪辱を狙ったが、惜しくも世界の頂点とはならなかった。それでも今大会の日本勢のメダル第1号となった。

優勝はA・マルティン(スペイン)で2時間24分30秒、2位はB・D・ピンタード(エクアドル)で2時間24分34秒、また日本記録保持者の野田明宏(自衛隊体育学校)は2時間25分50秒で6位入賞した。丸尾知司(愛知製鋼)は2時間29分52秒で13位だった。

空を見上げてガッツポーズでゴール。銅メダルを首から提げた川野は笑顔で「2大会連続のメダルは本当に光栄なこと。ここまでは平坦な道のりでなくつらい道のりだった。この舞台に立てたのは支えてくれた方々のおかげです」と語った。

序盤から力強い足取りで歩を進めた。A・キニオン(フランス)が15キロ付近から抜け出した。野田とともに第2集団に付けながら食らいついた。

運動能力が高い訳ではなく、努力してコツコツと積み上げるタイプ。この日もA・キニオンが独歩する中、焦ることなく終盤勝負を想定し、距離をじりじりと詰めた。

そのキニオンが3枚目の警告によるペナルティーで脱落。29キロすぎから勝負は3人に絞られた。残り2周のところでA・マルティンとB・D・ピンタードから少し遅れ、必死に粘ったが3位でフィニッシュした。

前回大会では最後の直線までマッシモ・スタノ(イタリア)と競り合い敗れた。ゴール後、地面に何度も手を叩きつけて悔しがった。そこから始まった1年の取り組み。川野は「あの1秒差に何があったのかを追求してきた」。2大会連続の表彰台に「勝ち続けることが難しい競歩という競技。自分たちのやってきた取り組みは間違いじゃなかった」と言葉を弾ませた。

50キロの廃止に伴い、前回のオレゴン大会から採用された新種目。来年のパリ五輪ではこの35キロは実施されない。