全国高校総体(インターハイ)女子100メートルで4位入賞した常盤木学園・千葉安珠(あんじゅ、2年)が、大会新記録の11秒99(追い風0・7メートル)で同種目優勝を飾った。世界選手権の女子100メートルを制したシャカリ・リチャードソン(23=米国)に憧れ、世界大会出場を夢見る宮城の有望株が他を圧倒して頂点に立った。

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千葉が高校トップスプリンターの貫禄を示した。女子100メートル決勝。スタート直後に飛び出すと、足を小刻みに回転させるピッチ走法で加速し、余力を残したままゴールラインを駆け抜けた。右太ももにテーピングを施してレースに臨んだが、2位に0秒54差をつける11秒99で完勝。「力まず、自分の理想のフォームで冷静に走れたと思います」。この日の予選で11秒96(追い風0・9メートル)をマークし、常盤木学園OGの佐藤美里(現中大2年)の持つ大会記録12秒01を更新。11秒台を2本そろえた。

「大会記録が美里先輩だったので、最低でもそれを超えたいと思っていました。インターハイから大きな課題がたくさんあり、全然まだまだ未完成ですが、国体に向けての通過点としてはいい感じでした」

世界女王に輝いたリチャードソンのピッチ走法に魅了された。先月開催された陸上の世界選手権は「リアルタイムと録画で全部見ました」。テレビ越しに成長するためのヒントを得たという。「一番の理想はリチャードソン選手だと思いました。身長も154センチぐらいしかなく、小さいからこそピッチがすごいなと。158センチで小柄な自分もピッチを鍛えていかないといけない」と力を込めた。

優勝を狙った全国高校総体100メートルは4位で悔しさを味わった。来月の鹿児島国体は少年女子A100メートルと成年少年女子共通400メートルリレーに出場予定。「インターハイのリベンジは国体でしかできないと思うので、優勝を狙っていきたいです」。常盤木学園と宮城を背負い、全国舞台で今度こそ笑う。【山田愛斗】

○…女子1500メートルは仙台育英勢がワンツーフィニッシュを決めた。ケニア出身の留学生デイシー・ジェロップ(2年)が大会記録を約5秒塗り替える4分20秒42で優勝。渡辺光桃(こと、1年)は自己ベストを約4秒更新する4分28秒42で2位に入った。100メートル付近でトップに立ち、独走したジェロップは「大会新記録で優勝できてうれしい。ベストレースができた」。スタート直後から2位を守った渡辺は「デイシー先輩についていけず、もう少し攻めの走りができたら良かったが、最低限の走りはできたと思う」と振り返った。