国学院大の伊地知賢造主将(4年)が29分31秒20をマークし、日本人トップの8位でフィニッシュした。「まずは下半期の1発目、チームに良い流れをつくりたいと思っていた。日本人トップを狙った中で良い走りができたので、駅伝シーズンにつながる走りになった」と胸を張った。

日本インカレの会場は、18年7月に国内最高記録の気温41・1度を観測し、「日本一暑い町」として知られる埼玉県熊谷市。同県出身の伊地知にとって、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場は“ホームグラウンド”だった。「ここは多分、一番走った競技場」。気温30度以上の暑さにも慣れていた。

「スタート前から負ける気は一切しなかった」

地元の友人や近所の人も駆けつける中、気合を走りに込めた。第2集団の中位で前半を駆けると、そこから徐々に前へ出た。「最初はマークされると思った。ちょっとずつポジションを上げて、ラストスパートということで、本当に予定通りになった」。最後は右手の人さし指を突き上げ、ゴールラインへ。スタンドからの声援を受けると、気迫のこもった表情を崩した。

その熱量を、駅伝シーズンへと向かうチームへ伝染させていく。昨季の国学院大は、出雲2位、全日本2位、箱根4位と常に上位につけた。現チームのスローガンは「てっぺん~まだ見ぬ赤紫の快進撃~」。新たな景色を見るため、言葉に力を込める。

「去年、出雲、全日本は優勝に届かない2番。箱根駅伝は表彰台に届かない4番。その悔しさを1回も忘れずにここまできた。この結果に満足せず、ひたむきに練習に取り組みたい」

大粒の汗をかき、りりしい顔つきで言い切った。3大駅伝の初陣は10月9日の出雲駅伝。てっぺんを目指し、思いをつないでいく。