8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)代表の飯塚翔太(32=ミズノ)が男子100メートル予選に出場し、追い風3・2メートルの参考記録ながら10秒08をマークした。

1週間後にアスレチックスチャレンジカップ(9月30日~10月1日、新潟)で200メートルに出場予定のため、同日の決勝は「コンディションを考えて」棄権した。

長良川へと吹く風に乗り、中盤で前へ出た。後半もそのまま駆け抜け、2位に0・15秒差の1着でフィニッシュ。「100の動きではなかった」と振り返りつつ「後半はよかった。200のイメージではいい走りだった」とうなずいた。

今夏の世界選手権は200メートルで代表入りし、自己3番目となる20秒27(無風)をマーク。ただ、準決勝は20秒54(向かい風0・1メートル)の7着で敗退となった。

「(ブダペストでは)前半は10秒60台と遅めだったんですが、後半は9秒60台で自己ベストだった。前半で(10秒)4、5までいけたら」

帰国後は時間をかけて疲労を抜き、今大会1週間前から本格的に練習を再開。「足や腕が先行するのではなく、全身でうまく走ってタイミングがとれてきている」と好感触を得ている。

この日の100メートルには、16年リオデジャネイロ五輪400メートルリレーで、共に銀メダルをつかんだ山縣亮太(1走)、桐生祥秀(3走)も出場。2走として、バトンをつないだ飯塚も心が躍った。

「彼らが走っているのを見るだけでうれしい。一緒にアップしているだけでもうれしい」

3人はいずれも実力を示し、各組1着でゴールした。「先頭を引っ張って走ってくれていて、うれしいです」と笑みをたたえた。

今年6月に32歳を迎えたスプリンターも、負けじと走り続ける。新潟の競技会では、パリ五輪の参加標準記録突破を狙う。「理想は(パリ五輪の)標準(20秒16)を切りたい。前半が鍵になってくる」。1つ1つのレースを次の走りへとつないでいく。