4年ぶりにシード権を逃した東京国際大が“史上最強のケニア人留学生”リチャード・エティーリ(1年)のまさかの転倒で、箱根駅伝7年連続出場を逃した。

突然の悲劇は8・4キロすぎに起きた。“留学生”中心の先頭集団を引っ張っていたエティーリが、後続選手の足がからまり転倒。何とか立ち上がったが、その後は痛みから大きくペースダウン。ゴールしたものの後続の日本選手にも抜かれた。

留学生の中でも実力は抜きんでていた。4月の1万メートルで27分6秒88の日本記録を上回るタイムをマーク。5月の5000メートルでも東京国際大の先輩イェゴン・ヴィンセントの持つ日本学生記録を14秒98も更新する13分0秒17の日本学生記録を樹立した。その大エースの失速が響いて、チームは13位山梨学院大にわずか3秒差で箱根切符を逃した。

レース後、エティーリは右ひざ下の打撲で「痛い。痛い。右足。痛い」と悲しげに繰り返した。松村拓希ヘッドコーチ(HC)は「15キロ地点で声をかけたらケガをしていると。でも止めることはできず、祈るような気持ちでいた。最後まで痛みに耐えてよく頑張ってくれた」と労った。

今年の箱根は11位で4年ぶりにシード権を逃して予選会に回った。11年の創部から監督を務めてきた大志田秀次氏が退任。横溝三郎総監督、松村HCの新体制で巻き返しへのスタートを切った。「順位より1月2、3日につながる走りが目標だった。何がいけなかったのかしっかり反省したい」(松村HC)。

前回箱根で4区区間記録を樹立したヴィンセントが今春卒業。日本人エースの丹所健(現ホンダ)も卒業し、戦力ダウン必至と思われたが、エティーリと村松敬哲(4年)の台頭などで箱根本番での上位進出も期待されていた。「もっと早い段階でペースを上げる攻める走りをしていれば」と、まさかの展開に村松も悔やみきれないようだった。