全国高校駅伝(12月24日、京都)の東北最後の1枠を、盛岡誠桜(岩手2位)がつかみ取った。全体6位の1時間14分22秒でゴール。1区・金野清佳(2年)が14位と出遅れ、トップの聖和学園(宮城2位)とは1分16秒差。しかし、徐々に順位を上げ、9位でタスキをもらったアンカー岡田愛里(3年)が3人を抜いて大逆転。2年ぶり16度目の都大路切符を勝ち取った。男子は仙台育英が2時間6分44秒で優勝。2区から6区までの5区間で区間賞を取るなど、他を圧倒し、大会5連覇を達成した。

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思いが詰まったタスキだった。4区平野結(3年)からタスキを受けたアンカー岡田は「ただの布ではなくて、みんなの気持ちがすごく詰まったような重いタスキだった」と振り返った。この日はベストコンディションとは言えず、「不安な気持ちが大きかった」。だが、タスキを受けたときには「パワーになりました。頑張ろうという気持ちになった」と不思議と不安は消えていた。

最終区間は5キロ。前には東北枠を争う聖和学園と日大東北(福島2位)がいた。「順位が把握できてない状態でスタートした」が、2キロ過ぎで2人を抜き、7位に浮上。大梶義幸監督は「アンカーに渡ったときに聖和学園さんと40秒あった差が、中間点(2・5キロ)で20秒くらい縮まっていた。これはいけると思った」。岡田の走りに手応えを感じ、再び確認した3・6キロ地点ではすでに聖和学園の前。指揮官は「1番きついところで抜いた。素晴らしい走りだった」とたたえた。

岡田は東北枠を死守したままゴール。ゴールの瞬間は「全国に行けると思っていなかった」が、迎えてくれた仲間から報告を受け、「みんなから『全国が決まったよ』と聞いて、信じられなかったです」と、うれし涙があふれた。

2年ぶり16度目の都大路へ。21年までは15大会連続出場も、昨年は花巻東に敗れ、連続出場が途絶えた。今年も県1位を同じ花巻東に譲ったものの、死に物狂いで最後の1枠を奪取。岡田は「今日の結果がゴールじゃなくて、新たなスタートだと思って、一から一生懸命練習していきたい」。冬の京都でも満開の笑顔を咲かせてみせる。【濱本神威】

 

仙台育英 10月28日に行われた県大会は体調不良者続出の中、戦った。千葉裕司監督は、杉浦蒼太主将(3年)に「今が底だと思えば上がるしかない」と声をかけ、今大会を迎えた。杉浦は3区約8キロを走り、24分27秒で区間賞を獲得。4区近江亮(1年)ら計5人が区間賞をマークし5連覇。それでも杉浦は「チームとしても個人個人としても課題が残った」と振り返った。千葉監督は「底から少しは上がった。トレーニングに励んで12月を迎えたい」と来る本番に向け、気を引き締めた。