陸上女子で中長距離の田中希実(24=ニューバランス)がマラソンへの思いを打ち明けた。

12日、都内で行われたレース「北渋マイル」に参加し、今季の活動報告会を開催。8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)5000メートルで8位入賞した実績などを振り返ったうえで、マラソン挑戦に言及した。

報道陣からマラソンへのイメージを問われると「まだ取り組みたいと思っていない」としながらも、今年6月のケニア合宿を回想。マラソン選手たちと一緒にトラック競技の練習に打ち込んでいたことを話し始めた。

「そのトラック練習に全部つけただけでも、私は『やったー!』と思えるくらいレベルが高かった。逆にロードの距離走は全然つけなかった。私はまだマラソンをしてもダメかな」

当時は力の差も感じたが、そこで同じメニューを消化していた選手の1人が、10月8日のシカゴマラソンで2時間20分を切っていたという。その姿に感化されて「こうやったら2時間20分を切れるんだとヒントになりました」と手応えを感じた。

10月末には00年シドニー五輪の女子マラソン金メダリスト高橋尚子さん、08年北京五輪5000メートル代表の小林祐梨子さんと会食。田中は父健智コーチに指導を仰いでいるが、それを受けた高橋さんから「家族が応援してくれている状況は、すごくありがたいことだよ」という旨の言葉を伝えられたという。「苦しいけど、苦しみに意味があったり、苦しみ自体がありがたいと感じるのは、支えてくれる人や応援してくださる人などの味方がいるからこそなんだなと感じることができました」と先輩の金言を胸に刻んだ。

来夏のパリ五輪では2大会連続代表入りが有力視されている。現時点では1500メートル、5000メートルの2種目での入賞を目標に掲げる。

「練習の質を上げていくことが大事。持久力に振る、スピードに振るというよりは、スピードも持久力も両方が鍛えられる練習を質高くできたら、強くなると思っています」

将来へつながるように、まずは今の日々に力を注いでいく。