地元福島のヒロインが、晩秋の信夫路を快走で彩った。福島県代表が2時間19分44秒で3位。06年以来の表彰台に立った。1区鈴木葵(23=ニトリ)がトップと3秒差の6位でタスキリレー。受けた2区岩崎麻知子(19=拓大1年)が、順位を1位に上げる好走。アンカー石井寿美(28=シスメックス)が、10キロを33分1秒で駆け抜け、区間賞を獲得した。

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石井が、福島の運命を背負った。第8中継所、4位でタスキを受けた時は3位千葉と14秒差。その差をじわりじわりと詰め、4キロを通過し、千葉の前に出て3位。ペースを崩さず、「もらったときは前が見えなかったんですけど、走って行くうちに、『もしかしたら狙えるかも』と思った」。第8中継所では1分37秒差があった宮城を射程圏内に捉えた。残り1キロ過ぎで2位浮上。だが、過去最高タイの2位目前で宮城とのデッドヒートに競り負け、「駆け引きが下手でした。足が止まってしまった」。課題は残ったが、それでも16大会ぶりの表彰台をゲット。自身にとっても手応えを感じた駅伝だった。

石井は昨年10月から3月まで、足のけがの治療に専念。7月にレース復帰したが、10月のプリンセス駅伝ではタスキリレーで転倒。「この大会は正直すごく怖かった」。転倒のフラッシュバックに悩まされたが「それをはねのけるような中高生の勢いをいただいた。出させてもらってよかったなという思いです」。福島を背負う後輩たちの活躍に力をもらった。

後輩も先輩から勇気をもらった。石井と同じ学法石川OGの2区岩崎は、「自分も将来、アンカーで福島県チームに貢献したい。すごいかっこよかったです」と心を動かされた。石井は「楽しみな福島県チームですね」と笑顔。16大会ぶりの快挙をつかんだ福島が来年も旋風を起こす。【濱本神威】

○…宮城4区の男乕(おのとら)結衣(五城中3年)が7人抜きの快走で、順位を2位まで押し上げた。3キロ9分24秒でNEXTヒロイン賞(区間賞)に輝いた男乕は「見える限りの人は追い抜こうと思って、全力で走りました。うれしいです」。チームは2位でフィニッシュ。男乕は「宝物です」と笑顔で振り返った。

○…岩手は2時間21分4秒で6位となり初入賞。アンカー佐々木菜月(東北福祉大1年)は、区間4位の33分32秒と好走。順位を8位から6位に押し上げた。佐々木は全日本大学女子駅伝でも、3区で区間7位と好走し、同大の初入賞に貢献。今後に向け「まずは12月末の富士山女子駅伝のメンバーに選ばれるように、日々の練習を頑張っていきたい」と力を込めた。