8月の世界選手権女子5000メートルで8位入賞の田中希実(24=ニューバランス)が同種目に出場し、15分7秒40で2着となった。

パリ五輪の参加標準記録(14分52秒00)を突破すれば、2大会連続の出場権を得ることができたが、このレースでの五輪切符獲得はならなかった。「どんな通過でも余裕があるかどうかが大事。そこが今日はなかったのでダメだった」と渋い表情で振り返った。

序盤はペースメーカーの後ろにつけるも、2位に下がる場面もあった。「最初の200(メートル)で頭に血がのぼって、気付いたら2番手にいっちゃった。その時点で『しまった』と思った」。ペースメーカーが3000メートルほどで外れると、スーサン・カモソに独走を許し、苦悶(くもん)の表情を浮かべながらもレースを展開。最後は廣中璃梨佳(23=JP日本郵政G)に迫られるも、0・03秒差で逃げ切った。

今年9月に自身が樹立した日本記録(14分29秒18)とは38秒22と差が開く結果となり「自己ベストとの格差が出てしまった。(参加標準記録の14分)52秒が切れなかったとしても、14分台でいつでも走れるようにしたい」と反省が先に立った。

これで年内の国内でのトラックレースは終了。今年1年を「苦しい時と楽しい時の波があり、山あり谷ありだった。その格差があった」と振り返ったが、同時に「苦しいと感じるか、楽しいと感じるかを決めるのは自分自身」と気付きもあった。

来夏にはパリ五輪を控えており、あらためて1500メートル、5000メートルの2種目で結果を残すことを目標に掲げた。「1500メートルを中心でいくというのは父(健智コーチ)と決めていて、私もその方がリフレッシュできる」と2種目を組み合わせながら調整を進める予定。「そのスタンスは今までと変わらないので、今まで以上に気持ちを充実させて、仲間とともに向かっていく時間を大切にできれば」と引き締めた。